『ピアニスト』
最初観たときからだいぶ経つのでどんなものだったか覚えていないけれど、スコセッシやリンチ、クローネンバーグの主人公なんかよりもグロいなという印象のみがとても残るのみである。しかしながら今回は、このテクストなぜかポジティヴにもみえる形で観終わる。
ピアニストはインテリでノー エモーションなところ、そして現代病に侵されているところ、ファニーゲームのポールと似ていても見える。以前は、こんな人いるのかいな?コアすぎる、そうした印象を持ったように記憶するが、彼女は思うに、器用か不器用なのか、有り得るのか有り得ないのか、そんなことより、人間の開示を視て聴き感じる。ふたりのアクターをみるにおいては、開きと閉じのエモーションのやり取り、、
なによりやはり印象的なところ、それはコンサートホールのロビーでの、彼女の表情と胸にひろがる血である。
現代病に犯された異常性愛なのか、それとも愛し愛され方を知らない知的産物なのか。そうしたことよりも、彼女の胸にひろがる血である。あれは浴室のあの血とは違ったものなのか。
ラストシークエンス、若い力に侮辱されオカシクなりあの場を去ったのか、或いは快感を得ているのか、それともアカデミアを去ることができ本当のピアニストになることができたのか。そうしたことよりもなによりも、彼女の胸にひろがる血が在る。
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