『アポロンの地獄』(1967)
★運命とか運命のいたずらとか成り上がりとか因果応報とかなそうとしてもなしえないものとか、そうした悲劇性もあらわされているのかもしれないが、運命の打破や抵抗しえぬものに抵抗することが、より強く表されている。
★感傷主義の恐ろしさ:すべての歴史的悲惨を感傷的な物語の秩序のうちに馴化し、神話化を施してしまうことで、それを非歴史的なものに代替させてしまうシステムを持つ。【クリステヴァ『詩的言語の革命』どこかのページ】
★現代のローマ:復興を遂げたローマに主人公の笛が響く。盲目の彼はしっかりした眼差しで見つめている。
★ベンヤミン「革命的作家があらわれるのは、かれらがブルジョワ出身の作家の場合、本質的かつ決定的に出自の階級の裏切り者となるときである」→ 笛は詩を表すものだ。『無防備都市』のラストの少年たちが吹く口笛が印象に残ったため、それにつなげるようなことで、都市は(このテクストではローマ)いまどうなっているのかとか考えたりもしたが、笛はただただ詩的に響いてきているように思える。 時代が変われど、詩はそこにただただ、そして能動的にも、浮かび上がってくるものではなかろうか。
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