つまり、居合抜きだった。
【WBC2026 第三戦オーストラリア戦】
第三戦はオーストラリア戦。試合前に予選リーグ突破が決まっていた。そこで少し息が抜けていたかな。少しだけ、少しだけ浮ついていた。見ている方にもそれはあって、そこに空白の風が忍び寄る。だよねー。
オーストラリアは、(日本チームには)苦手の変則気味の投手できた。どう変則かと言えば、ほぼ2メートルの高身長。高身長ということは、それだけ手も長い。
長い手がボディ・スイングから遅れて振られてくるので、慣れていない日本人はタイミングがとりにくい。
「アレ、まだボールが出てこないのか」
という状態になる。日本とオーストラリア、ほとんどが手の長さの問題になる。
そーか、そーかあ、これはオーストラリアの監督の起用がうまかった、と言えるのかもしれない。
三番手投手に至っては高身長で、左サイド投げ。まるでファースト・ベースから投げてくるようだ。並んだ日本の左バッターには、背中からボールが回ってくることになる。
この辺で、相手の狙いは見えてきた。(とりようによれば、左は大谷対策か)
日本の投手は菅野。一言で言えば、敏感だね。打者のちょっとした気配を先に先に悟って、配球に生かしていく。狙いから、ズラしていく。得意のスライダーは、バッターの狙いをズラす「ズライダー」になっている。
そうして、4回、無失点、見事だね。
6回表、思わぬ三塁牽制エラーで1点先行される。アナウンサーの声、あわてている。
「これは、思わぬ展開で先制されることになりました」
やはり「思わぬ」が共通語、言葉が揺れている。
あとは、それ行け、追い付けなのだが。それにしても、ウーム、嫌な気配がある。日本チーム、空振りが多い。
7回裏、いよいよ試合の山が来る。大谷の四球出塁を受けて、吉田がバッター・ボックスに入る。
この回から相手投手は五番手、左サイド投げのケネディ。2メートルの超えの高身長で、逃げるスライダーが投球の半数以上、それが武器になっている。
一球、見て、2球目。内側低めのボールを、シュッパと振り抜く。刀を居合で抜いたような動作だった。バットは腰から出た。(嘘ではない、見て欲しい)
ボールはやや高いライナーでスタンドに飛び込んだ。
低めのボールの振り抜きなので見えにくいということもあるが、バットの振り出しはもはや「見えない」速さだった。
スタッドキャストでボールの軌道を追うと、まったく真っ直ぐに飛んでいた。少しも切れていない。
さあ、ここまで言えば通じるよね。
吉田は、�〜蚤�いバットスイイングで、�▲ぅ鵐汽ぅ鼻Ε▲Ε箸某兇蟒个掘△修譴鬮A以�向に振り抜いていた。
日本野球の完成形。
ぼくは、「吉田正尚をもう一度ホメたい」と書いたわけだけど、
「こういうことなんです、これです」
と(すいませんが)少し声高にお伝えします。完全なことなんてそうはないが、ほぼ完全なバット・スイング。そのスイングってやつは一瞬で跡形もなく消えて行く。にじむように消えて行く。
どこに、と言えば。いえ、まあ、見る人のこころにです。
そのあと日本は追加点を取り、その追加点分を9回に打ち返された。
2本のホームラン。
大丈夫さ。
そいつは、映画のラストに流れるタイトルバックのようなもので、今日のドラマにはさほど関わりのないものとしか感じられなかった。負ける気はしなかった。
吉田の居合抜きは、それくらいあたりを支配していた。
(繰り返します。バットが、腰から抜かれるところをぜひ映像でå見てください)
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