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2025年04月22日00:02

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「軽はずみな進歩」

 日曜日の初耳学「桑田佳祐インタビュー林修」を見ました。
(息子に教えてもらったのです)

 桑田佳祐さんにはまことに申し訳ないが、まるでぼくが画面から話してるようでおよそ他人事とは思えない、なんとも身につまされる不思議な気持ちです。
「画面に映ってるあいつはわかるが、見てる俺は誰だろう」
 落語の「長短」ができあがちゃって、とまどってしまいます。

 えーと、桑田佳祐の力を借りて
「オイラ、すごいだろう」
 とかしたい下心は毛頭ないよ。毛根はまだ少しだけ残っているけど。髪を引っ張る、イテテッ、まだ大丈夫。

 時代の暦を一緒に日めくりしている気分でゆっくりゆっくり進んでいくんだ。それにしても、この人生の「帰り道気分」は気持ちいいもんだね。

「わたし自分でラジオをやっていまして、ラジオのスタジオで聴くとなにかこう違和感を感じて。ビクターのスタジオでは感じないズレとかテンポの違いを感じちゃって、えー、また録音スタジオに行っちゃうんですよ」
「あきらめが悪いと言うか、踏ん切りが悪いと言うか、どうしょうもないところがあったんだと思います」

(大変に小さい話ですが)ぼくは、このミクシーの日記、切れ目なく直しています。1本につきほぼ4、5回直します。テキストで見た時とページで見た時は違うし、違うことを思いつくのですね。その場でやっと気がつくのです。

 くれぐれもぼくの自慢をしたいんじゃないんですよ。ある秘密を解説したいのです。
 直す、ほとんどの人は気がつかない。それにしてもどうして気がつかないのか。それはねぇ、(知らぬ間に)良いことをしておくと受け手は気づかず通り過ぎてゆくんです。いいんです、いいんです、
「綺麗な道を、どうぞ歩いてください」
という仕事。それで良いのさ。きれいに直せば直すほど、気がつかない。面白いなあ。

「自分のため」とかいろいろな捉え方はあります。でもそれは作りすぎ。知らぬ間に良いことをしておきましょう、それで良いのです。人は、人のために生きているという教訓だと思います。それがわからない人は
「どうして気がつかないんだ」
などというきわめて野暮なことを仕切りに言い出します。
「だから世の中。間違っている」
あれ、世の中への悪口も出てきます。そういう奴に桑田は言います、(ぼくも応援します)「すべての歌に懺悔しな」です。

 遠回しだけどこんなことも言っています。
「歌うでしょ、そうすると森進一さんの天才ぶりがわかるんですよ」
 この一言で、桑田の歌への鋭敏さがぼくにはわかります。他のロック歌手なら同じことが言えるだろうか。とうてい言えないよ。なんとか否定する言葉をひねり出すよ。こう言うのは、(業界用語で)マイナー根性がはなれないと言います。


「洋楽を作りたかったんですね。ほか、なにも考えてなかった」
 下向いて、子供が地面に棒で文字をなぞっているような話しかた。あ、それは本音のなかの本音だからでしょうね。
「わたくしなんて、楽譜を書けるわけじゃないし、なにもないんです」
 でも、桑田のこの「洋楽を作りたかった」熱が、日本の音楽を変えたのです。

�ヾ�き舌。サザンとなるとまずこの話です。
 どうして巻き舌にしたかったのですか。そう聞くと、やっぱり
「洋楽風にしたかった」と答えるのだと思います。
「風(ふう)」とはなんと軽はずみな言葉。このはじまりは軽はずみ、と言うのがサザンの持ち味です。軽はずみに進歩します。
 巻き舌が、音楽にどう影響したのか。日本語の欠点、単調な母音を補ったのですね。巻き舌で引っ張る語尾が母音を豊かにして、テレサ・テンや欧陽菲菲の味を日本の歌に誕生させちゃったのです。
「なんだあのバタ臭い、下品な巻き舌は」が作り出した、(音楽における)日本語革命です。わからないものです。それに日本語がリズムにうまく乗りはじめたのです。(関西弁は、いち早く克服していました)
 ミスチルの桜井くんも、この偉大な効果に感動して、ひと頃、巻き舌を習いに「日産するのはセドリック」ではなくて、日参です。小林旭は出てきません。

�△發Δ劼箸弔蓮嵌�音語」です。
 メロに合った歌詞が見つからないと、そのまま適当に気分の合った語彙を放り込んでおくという方法。
「砂まじりの茅ヶ崎」
などはその代表だそう。
 言葉を探すという仕事は、意味を追う作業です。でも意味を追っていると、気分が置き去りになる。それに、しかつめらしい。そこで「意味語」より「発音語」です。
「砂まじりってあたりで、メロに合うよ」
「シュビシュビ・ヤアヤア、これでハマり、これいいよ」
「熱い人、じゃあ熱人28号にしておくか」
 自由な感じでしょう、すっかり自由とは言わないが、いとも軽はずみに進歩してきたんですね。

 というようなことをボソボソ話してくれました。
 ぼくは「軽はずみな進歩」という骨子で、ここで書いています。
「いい加減にやってるみたいで、まったく失礼だなあ」とか
「おい、サザンを軽く見てんのかあ」とか
いろいろ口撃(攻撃のこと)が出そうですね。しばし、しばし。

「軽はずみ」って、そう悪い言葉ではないと思うよ。だってみんなやりたくても「軽はずみ」にやれないよ。で、ご本人に聞くとするでしょう、すると
「あ、その通り。わたくしたち、その通りです」
と桑田は言うと思うよ。本人はあくまで率直です。

 最後に「TSUNAMI」です。「TSUNAMI」はねぇ、いちばん上手に漢字が使えているんじゃないかな。まずどの曲より漢字が多い。これでわかります、日本語とうまく仲良くできた証拠なんでしょうね。
「サザン日本語」の完成形、はい、こんな出ました。
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