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2024年03月13日06:31

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ランボーの千里眼。

「きみ、きみ、千里眼はどうなんだね」
「いやぁ、あのー、ぼくはクルマの免許は眼鏡使用ですけど、千里眼の方はまだで」
「まだかあ、まあ仕方ないよな、なくて普通、普通だから気にするな」

 えーと、ぼくは、いまから「閃き」の話をします。それも文章の「閃き」です。自分を変える、時に世間の価値観を一遍させてしまうかもしれない「閃き」から生まれる一行の文の力、その秘密をなんとか覗こうという話です。

 あの(天才詩人と言われた)アルチュール・ランボーは、その力を千里眼と比喩しています。これがなかなか面白い。
 ランボーが言うにはですね「詩人は、あらゆる感覚の、長い限りない、合理的な乱用によって千里眼になる」と小林秀雄が訳しています。相変わらず修辞がすぎるので、ぼくがごくごくかんたんにします。

 詩人はすべてを駆使して考える。するといつしか「閃き」が降りてきて、その瞬間フワッと明日が見えてくるのです。千里眼の状態ですね。これ、嘘ではなくて、混沌とした状態が溶けるのだから、すべてが整理され脳天の中に未来が見えてきたり、実際に世の中が「閃き」の通りになったりします。

 カッコよく言えば、世界が文学を模倣する、となるのです。それだけすごいんだな「閃き」は。やる時はやります状態なんだ。あっ忘れてはいけない、「閃き」は(詩の場合)今までにない一行の詩として定着します。

「閃き」とかインスピレーションというものは、まるで落雷にように、まるで天啓のように落ちてくるとしましょう。
「では、どうすれば閃きは落ちてくるの。教えて、教えて」
みんなが言います。当然のところです。誰でも魔球は欲しいのです。バレリーは、そいつにも容赦無く追い討ちをします。それは「神の力で降りてくるのではなく作者自身の力だ」と言うのですよ。

 ここでもう一度、小林秀雄の「ランボオ論」です。
「亜流というものは皆そういうものであるが、彼らにはランボオが払った代価が解らなかった」
 これは「真似するならちゃんとやれよ」というお怒りの言葉なんですね。つまりカタチだけ真似ても「閃き」は到底ムリだよ、というわけです。
「長い限りない、合理的な乱用」というのが答えですね。とんでもない速度で、とんでもない密度で思考しなさい、とランボオと小林秀雄は言うのです。

 で、それは実際的にどうなっているのかを、ぼく流のやり方で解析して教えます。天才は無理でも一流くらいは通じるはずですよ。

 えーとぼくは長年コピーを書いてきました。「閃き」のある一行を書くために苦労していたわけです。ある意味、最も詩人に近い職業だと思います。その方法の解析です。

 �,�勉強:ある商品、あるテーマを描こうと思いますね。準備として要素を箇条書きにして覚えようとします。必要なことなんですが、文字の情報は頭で考えたものでどこまで行っても輪郭しか見えてこないのが泣き所。ところがこれが理解だと思っている人が半数はいるでしょう。これが、上に書いた亜流の王国です。

 �▲�オス(混沌):これでもかと読み込むんですね。誦(そら)で言えるくらい。ついでにシーンも見通すんです。すると詰め込みすぎた要素が脳の中で秩序を失い混沌とし、やがて再構築され作為のない全体像として把握できるようになります。脳内に生まれた等身大。像でいえば、輪郭から3次元的にイメージできるようになるのです。

 ��成り切る:3次元的にイメージしたものに成り切るのです。理解ではありません、成り切るのです。演劇でいうところのスタニフラスキー・システムをイメージしてください。書き手は役者になり、役を演じて声を出すのです。その声は、肉体感のある言葉や声になって発露します。こうなればゴール間近です。

 �と�声:最後はセンスです。例えばアーモンドチョコに成り切ったとしましょう。目の前に海があったとします。「海でおっぱいに抱かれたい」と心底思えば、それが「閃き」のはじまり。成り切っていると、地声を出すように文の手数は出るはずです。そこからチョコチョコすれば良いのです。

 ここまでやれば、少なくともあなたらしさは出てくるはずです。表現の世界を目指す限り「自分らしさ」は出発点。「自分らしさ」を出せる能力で、キャリアとしては50点位は超えているはずです。

 キャッチフレーズですが「閃き」とはどんな生まれ方をして、どんな役目をするのか、ひとつだけ例を挙げてみましょう。きわめて良い例です。

「閃き」なし→「男には、翼があるんだよ」
「閃き」あり→「男には、見えない翼があるんだよ」

 半数以上が「閃き」なしが書けたところでオッケーしてしまうでしょう。しかしいかにも平凡で、つまらない文章です。眠いだけ。凡人の代表です。
 下の一行は、まさしく千里眼です。すーっと男の未来が見えてきそうな一行です。ランボーみたいな人生さえ感じさせてくれます。文は、こうあらねば。

 キャッチフレーズは一行詩です。「閃き」の存在が、はっきり理解しやすい表現なので挙げてみました。見ての通りです。
(無断です。作者の西村さん、ありがとうございます)。
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