「今年こそ鎌倉にアジサイを見に行こう」
妻に何年そう言い続けたことだろう。一緒に暮らしはじめてからそろそろ十年だというのに一度も実現していなかった。アジサイを綺麗に見られる六月は、ぼくの仕事が多忙な時期と重なっていたからだ。
それがついに実現できた。ぼくが退職したからである。次の仕事が決まるまでは平日に遊びに行く時間がある。そういうわけで昨日の月曜日に鎌倉に向かった。アジサイ寺で知られるのは長谷寺と明月院なので、両方行くことにした。
長谷寺は入り口に「六分咲き」の看板が出ていた。たしかにそんな感じの咲き方だった。しかし実に豊富な種類のアジサイが咲いており、これもアジサイなのかとずいぶん驚かされた。長谷寺命名の新種まであった。
明月院もたぶん六分咲きぐらいなのだろうが、こちらは種類は豊富ではないが、とにかくたくさん咲いていた。カメラマンたちには長谷寺よりこちらのほうが撮り甲斐があるだろう。
計算外だったのは人の多さである。休日じゃないと甘く考えていたが、長谷寺も明月院も大混雑していた。アジサイが密集しているところやビューポイントでは、誰もが写真を撮るので、列がなかなか進まないほどだった。さすが鎌倉。
ランチは、本当は村上春樹さんが藤沢に住んでいたころによく行っていたという『ホノルル食堂』に聖地巡礼したかったのだが、月曜日は休みらしいので、明月院のすぐそばの『ル・マルカッサン ドール』というフレンチにした。コスパの良い料理だった。
(写真は長谷寺オリジナルのアジサイの新種)
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