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2022年09月12日16:52

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《2022広島1》月はそっちに出ている

まるでバブル時代に「味噌ラーメンを食べに札幌行ってくる飛行機」みたいなアラカンバブル。「中秋の名月を美術館へ観に行こう満月」が現実になる。

切っ掛けは数年前に開催された山種美術館。
見事な《赤の元宋》、そして《月の元宋》アート
広島の山奥に作家夫婦の名前を冠した美術館があることを知り、そして月に1度の満月の夜、ナイトミュージアムとしてイベントを開催していることを知った。

コロナくんの襲来でしばらくの閉館やイベント中止が続いていたが、ようやく再開され、ブッキングは中秋の名月に合わせておいた。
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《奥田元宋・小百女美術館》
設計は「東京都の粗大ごみ」と磯崎新から揶揄されたことで知られる東京都現代美術館の設計者・柳沢孝彦。
磯崎新の言葉を気にしなければ、中川一政美術館を皮切りに、新国立劇場、東京オペラシティ、上田市美術館などを設計しているのだから、それはそれで見事なものだ。
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訪館前。いま調べてみると3か月も前から美術館のスタッフとメール交換をさせていただき、イベントの予定を伺っていた。
例えば『呈茶』湯のみ
別邸の茶室で点てていただけるというので興味があったが、この日は満月に中秋の名月のハイブリッドな1日とあって「1年で一番混雑」が予想される日。
当日15時から売り出されるという8枚限りの呈茶券の取得もままならない。
事前予約もできないとあって、裏千家師匠のアドバイスに従って呈茶を断念して、ゆっくりと18時の訪館となったペンギン
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サロンコンサート1時間前。
事前に伺っていた通り、三次市の市民全員がやってきているのではと思われるほどの混雑に、準備で大わらわの館長さん。
受付で「館長さんにお礼を」と伝えると、気を利かせてくれたスタッフが館長さんにお引き合わせしてくれた。
蟹座「申し訳ございません、忙しい時間に…いろいろとご丁寧に案内をいただきありがとうございました」
犬「こちらこそ、遠く(←神奈川県)からわざわざどうもありがとうございます。呈茶はいただけましたか?」
蟹座「先着には難しいだろうという判断で諦めました。コンサートと元宋さんの作品が見られれば十分です」
本当は「満月」を加えてしかるべきだったけど、やってきた道行には雨が降り、美術館の天空は黒雲に覆われている。「満月」はお隠れ気味で、美術館でのお月見は半ば諦めていた。
犬「そうですか」と、おいらの話を引き取ると、視線を前方に移して「〇〇くん」と、男性スタッフを呼んできた。このスタッフが呈茶担当のTKさん湯のみ
ブタ「18時の券、先ほどまであったんですけど、売り切れになってしまいました」
蟹座「大丈夫ですよ。元宋作品をゆっくりと鑑賞してきますから指でOK
ブタ「見学は自由にできますので、どうぞ茶室にもお出かけください」
それならと茶室に出向く。
案内の和服女史に見学を伝えると「理事長さん、いらっしゃいますよ」と、おいらを誰だと思っていたのだろう。
おいらもおいらで、それならばと、初対面の理事長さんと名刺交換して奥田元宋や三次市についてあれこれと語り合う。

呈茶担当のTKさんが、汗をかき息を切らしながら茶室にやってきた走る人
ブタ「オスカーさん、まだ30分ありますから、どうぞお茶をいただいていってください手(パー)」と、地元で有名な桜餅までつけて表千家で茶を点ててくれる。
そして、なぜか無料。
よくあることだけど、またもや一期一会のVIP待遇。
コンサートが始まるまでの30分。
和服女史から、今は亡き美術好きのご主人の思い出話を聞きながら、先生のお点前に従って抹茶を含む。
なんだろう、この厚遇湯のみ
芸能界の関係者でもないというのに獅子座

そして、僥倖はこれだけでは終わらない。

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『満月ロビーコンサート』
立ち見の出る中、最前列の特等席(パイプ椅子)を空けていただいて、19時〜19時40分の小さなコンサート。
向井真帆(Vc.)+松岡遥那(Pf.)の《ふたりの時間》るんるん
【セットリスト】
1サン=サーンス『白鳥』
2ドビュッシー『チェロソナタ ニ短調』
3ラフマニノフ『ヴォカリーズ』
4久石譲『Stand Alone』
5カサド『親愛なる言葉』
蟹座「Bravo!」
ホール唯一のブラボ―コールだった。
美術館スタッフのMCがやってきて、アンコールへとつなぐ。
猫「素敵なブラボ―コールがかかりました。皆さんの心の中の気持ちを代表してくれたかのようなコールでした」
褒められた。
Ec:武満徹『小さな空』満月

月の出は19時08分だったけど、ライブ中は果たして雲が晴れていたかどうかはわからない。つい1時間前は黒い雲に覆われていた三次の空。
コンサートが終わり、館長さんがマイクを持つカラオケ
犬「月が出ていますよ。ホールの電気を落としますね」
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しゃれた演出である。
写真にはやや雲が掛かっているが、透き通ったフルムーンを眺めることができた。
呈茶担当のTKさんに伺うと「あの時間だけ晴れました。奇跡です手(チョキ)」のひと言。
僥倖。
やはり、おいらが奇跡を運んできたのかなぴかぴか(新しい)
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役目を果たしたかのように、やがて中秋の名月は雲に隠れていく。
『見る人にもののあはれを知らすれば、月やこの世の鏡なるらむ』(崇徳院)
どうしたって、この歌がおいらの脳裏をよぎっていく。

満月の日だけ21時まで開館する。
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コンサートにやってきていた三次市民はいつの間にか姿を消し、奥田元宋・小由女作品の展示室は静寂に包まれた。貸切。
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正面に『月の別れ』満月
月へと旅立ったご主人・元宋を想い。
それほど多くを知らなかった小由女作品も十分に堪能できる。
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繊細でありながらも堂々とした人形作品。
奥田小由女、85歳。現存。

3つある元宋展示室のうち、2室はセキュリティスッタフがいて撮影ができなかったけど、第3展示室の大作は完全に貸切でロスコシャワーならぬ、元宋シャワーを浴びることができたペンギン
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『白嶂』
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『紅嶺』
波におぼれていくように、滝にのまれるかのように。
個々に埋没する至福の時間。
何一つ不満がない。
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(つづく)



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