mixiユーザー(id:5087127)

2022年01月28日23:10

573 view

新譜之雑談帖(その802)―カレル・アンチェル/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団実況録音集成(15CD)

カレル・アンチェルという指揮者は、チェコ・フィルとの黄金時代を築きながらも、昭和43年の『プラハの春』に対する当時のソビエト連邦の軍事介入により、祖国を追われた格好になり、それから5年後に没して仕舞った悲運の指揮者として知られているか、と思います。その常任指揮者時代に、結構な数の録音を残して居りまして、今からざっと20年程前にチェコのスプラフォン・レーベルから『アンチェル・エディション』として発売されました。只、個人的に惜しむらくは前任者ターリヒに遠慮したのか、或いは満を持してという思いがあったものの、思いがけぬ理由で祖国を追われたからなのか、御国物のドヴォルザーク、スメタナの管弦楽曲に関しては、ドヴォルザークの第六・第九交響曲『新世界より』、スメタナの『わが祖国』全曲のみ、という寂しさ。

この世を去ってから既に半世紀近くの歳月が流れ、散発的に公になった実況録音を除いてはアンチェルの未公表の録音が世に出る事はもうないのだろう、と殆ど諦めの境地でありました。
が。
某塔音盤店のウェブ・サイトを眺めると、チェコ・フィルとの『わが祖国』の実況録音盤が出る、との告知が。この録音はかねてから存在が知られていたものでありまして、1968年の音楽祭としての「プラハの春」開幕を飾った演奏。スプラフォンからでるのだから、オリジナル音源に当たってのものだろうけれど、既に蔵しているなあ。その割にはえらく値段が高いきれど、と思って詳しく見てみるとこは如何に。常任指揮者時代の実況録音集だ、とあるではありませんか。嗚呼、なんてこったい。内訳をそのままコピペすると、いかの通り。

<引用開始>

CD1
●スメタナ:連作交響詩『わが祖国』(全曲)(74'29)
録音:1968年5月12日/スメタナ・ホール【プラハの春音楽祭】(ステレオ)

CD2
●モーツァルト:アダージョ ホ長調 K.261(7'12)
ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)
録音:1968年5月24日/スメタナ・ホール【プラハの春音楽祭】(ステレオ)
●モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219『トルコ風』(29'12)
アレクサンドル・プロチェク(ヴァイオリン)
録音:1959年3月5日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(297c)(26'15)
ゲーザ・ノヴァーク(フルート)、カレル・パトラス(ハープ)
録音:1957年1月5日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

●ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチョーソ 変ニ長調 Op.66(B 131)(13'42)
録音:1957年9月21日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD3
●ベートーヴェン:『コリオラン』序曲 Op.62(8'33)
録音:1966年10月27日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 Op.56(35'07)
ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)、ヨゼフ・フッフロ(チェロ)、ヤン・パネンカ(ピアノ)
録音:1964年10月24日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op.36(31'36)
録音:1968年2月1日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD4
●ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 Op.93(25'16)
録音:1960年3月3日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90『イタリア』(26'28)
録音:1968年2月1日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20(16'11)
録音:1965年2月26日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD5
●ドヴォルザーク:交響曲第7番 ニ短調 Op.70(B 141)(34'33)
録音:1962年2月18日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 Op.88(B 163)(35'55)
録音:1960年2月10日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD6
●ドヴォルザーク:『聖書の歌』Op.99(B 189)(12'58)
ラディスラフ・ムラーツ(バス)
録音:1956年1月4日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●スーク:『アスラエル』交響曲 ハ短調 Op.27(58'58)
録音:1967年4月6日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD7
●スーク:交響詩『人生の実り』Op.34(37'13)
プラハ・フィルハーモニック合唱団、ヨゼフ・ヴェセルカ(合唱指揮)
録音:1968年5月24日/スメタナ・ホール【プラハの春音楽祭】(ステレオ)
●フェルステル:交響曲第4番 ハ短調 Op.54『復活祭の夜』(37'01)
録音:1959年5月16日/スメタナ・ホール【プラハの春音楽祭】(モノラル)
CD8
●クルサーク:マーラーの主題による変奏曲(18'56)
録音:1964年10月22日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ノヴァーク:『秋の交響曲』Op.62(62'07)
プラハ・フィルハーモニック合唱団、ヨゼフ・ヴェセルカ(合唱指揮)
録音:1960年2月18日/スメタナ・ホール(モノラル)

CD9
●ノヴァーク:交響詩『パン』Op.43(44'50)
録音:1967年10月16日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ムソルグスキー(イェレミアス編):『死の歌と踊り』(19'50)
ラディスラフ・ムラーツ(バス)
録音:1961年2月9日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD10
●ドビュッシー:交響詩『海』(22'08)
録音:1958年10月2&3日(?)/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ドビュッシー:夜想曲(21'40)
プラハ・フィルハーモニック合唱団、ヤン・キューン(合唱指揮)
録音:1957年10月23-25日(?)/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ラヴェル:シェエラザード【i.アジア/ii.魔法の笛/iii.つれない人】(16'18)
シュザンヌ・ダンコ(ソプラノ)
録音:1957年5月21日/スメタナ・ホール【プラハの春音楽祭】(モノラル)
●ラヴェル:スペイン狂詩曲(14'00)
録音:1965年2月26日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD11
●エルガー:序奏とアレグロ Op.47〜弦楽のための(12'50)
スメタナ四重奏団【イルジー・ノヴァーク(第1ヴァイオリン)、リュボミール・コステツキー(第2ヴァイオリン)、ミラン・シュカンパ(ヴィオラ)、アントニーン・コホウト(チェロ)】
録音:1956年9月27日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲(16'02)
録音:1962年2月18日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ピストン:トッカータ〜オーケストラのための(8'09)
録音:1965年10月10日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●プロコフィエフ:スキタイ組曲『アラとロリー』Op.20(20'41)
録音:1960年2月4日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ルトフワフスキ:葬送音楽(13'59)
録音:1960年1月21日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD12
●マルティヌー:合奏協奏曲 H 263(13'25)
録音:1964年10月16日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●マルティヌー:交響曲第1番 H 289(33'00)
録音:1963年10月17日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●ヤナーチェク:2台のピアノのための協奏曲(28'06)
ヤン・ノヴァーク(ピアノ)、エリシュカ・ノヴァーコヴァー(ピアノ)
録音:1957年3月29日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD13
●クレイチー:交響曲第1番 ニ長調(24'15)
録音:1957年3月29日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●クレイチー:交響曲第3番 ニ長調(17'29)
録音:1964年2月15日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●イェジェク:ピアノと管弦楽のためのファンタジー(16'35)*
ヴァーツラフ・ホルスクネフト(ピアノ)
録音:1949年3月16&17日/プラハ放送第1スタジオ(プラハ)(モノラル)
●ストラヴィンスキー:ピアノと管楽器のための協奏曲(19'46)
ズデニェク・イーレク(ピアノ)、チェコ・フィルハーモニック管楽アンサンブル
録音:1967年4月8日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD14
●ヒンデミット:フィルハーモニー協奏曲(21'42)
録音:1964年4月23日/スメタナ・ホール(モノラル)
●パウエル:狂詩曲(20'13)
録音:1953年10月22日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)
●カベラーチ:交響曲第5番 変ロ短調Op. 41『ドラマティカ』(39'37)
リブシェ・ドマニーンスカ(ソプラノ)
録音:1961年4月27日/ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム(プラハ)(モノラル)

CD15
●フェルド:管弦楽のための協奏曲(39'12)
録音:1962年4月5日/スメタナ・ホール(モノラル)
●シュルホフ:共産党宣言による交唱曲 Op.82(36'50)
【カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの共産党宣言に基づくルドルフ・フックスによるドイツ語テキストのチェコ語版】(チェコ語訳:パヴェル・ショルテーツ、オーケストレーション:スヴァトプルク・ハヴェルカ)
ヘレナ・タッテルムスホヴァー(ソプラノ)、ヤルミラ・ボシュイノヴァー(アルト)、ヤン・ハラフサ(テノール)、テオドル・シュルバシュ(バス)
録音:1962年4月5日/スメタナ・ホール(モノラル)

以上、
カレル・アンチェル(指揮)、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
プラハ放送交響楽団*

<引用終了>

ううむ、これは壮観ですねえ。個人的には先ほど言及した『アンチェル・エディション』にもなかったドヴォルザークの第七・第八交響曲があるのが何と言っても嬉しい所。アンチェルもこの時代の指揮者に漏れず、実況録音の方が遥かに白熱した演奏を聴かせてくれる人なので、馴染の薄い曲もかなりありますが、大いに食指の延びる録音集成、でありますね。またまた資金繰りと未聴盤の山との問題をどうするか、煩悶する日々が続きそうであります。嗚呼、バカハシナナキャナオラナイ。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する