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2021年07月05日13:52

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読みたい本が常にある幸福

 本は基本的に図書館で借りて読んでいる。雑誌もあわせたら年間平均五十冊ぐらい読むので、全部買っていたらお金が続かないからだ。
 しかしときどき、読んでいる途中で「これは自分に必要な本だ」と直感することがある。その場合は購入する。借りている本をすぐに返却し、続きは購入した本で読む。それが図書館で順番待ちをしている人にとって良いだろうと考えて。ただ実際には、そういうことは滅多に起こらず、借りた本を平和に楽しんでいる。
 それが最近、立て続けに三冊直感した。ジョン・グリシャム著『「グレート・ギャツビー」を追え』、春日太一著『あかんやつら』、加東大介著『南の島に雪が降る』の三冊である。
『「グレート・ギャツビー」を追え』はサスペンス映画を観るようなスリリングな展開に、読んでいる間ずっとドキドキしていた。『あかんやつら』は映画ファン必読の書である。東映の歴史がこの一冊に凝縮されている。著者の、映画に対する熱い思いや東映に対する愛情がひしひしと伝わってきた。『南の島に雪が降る』は第二次大戦末期、ニューギニアに赴任した著名な俳優である著者が慰安劇団を立ち上げる話で、貴重な戦争体験記である。読んでいる途中、ふと村上春樹さんの言葉を思い出した。今年二月に発売された週刊朝日でのインタビューでの言葉である。
「どんな状況でも人は楽しめるなにかが必要です」
『南の島に雪が降る』はそのことがよく分る名著である。
 どれも、とてもじゃないが斜め読みなどできる本ではないので(だから買ったわけだが)、じっくり読んだ。おかげでその間に発売になった村上春樹さんの新刊『古くて素敵なクラシック・レコードたち』と『本当の翻訳の話をしよう 増補版』は、買ったはいいがいまだに読みはじめられないでいる。
 読みたい本が次々に待ち構えているなんて、じつに愉快な悩みである。
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