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2021年01月17日23:06

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新・音盤雑談帖(その89)―C.P.E.バッハ作品集成

わたくしがj・S・バッハの次男坊のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの音楽に関心を持ったのは、数年前に某ヘンスラーから、全54枚組の網羅的な録音集成が発売された時。それまでは名前は知っていたものの、それ程数多くの録音がされている訳ではあるまい、と勝手に決め込んでいたのでありますが(無知蒙昧とは恐ろしい)。無論殆ど音楽的な知識を有していない作曲家の、こんな大きな録音集成を購入する程向こう見ずではないので、その時もへえ、と感心しただけでありました。

その後、某塔音盤店で、13枚組のC・P・E・バッハの録音集成が割引価格で発売されているのを見付け。このくらいの分量ならば、まあ何とか聴き通すのは難しくはないのでは、と思いあれこれこの録音集成に収められている録音自体の評価を確認してみると、左程悪くはなさそうなのでこれを機会に、と購入。少し前からちょこちょこと聞き始めて、先日一通り聴き終わりましたので、感想文を少々。

わたくしは連呼して居りますように、所謂古楽器系の演奏が大嫌いでありまして。なにが気に入らない、と申しますとどうも無闇矢鱈にテンポの設定が速い気がして仕方がない。それこそオソイテンポにシタラシンジャウ病にでもかかっているんじゃねえのか、と疑いたくなる様な無意味に速いテンポで演奏される事が(独断と偏見、ではありますんが)多い。
近年評判の良いらしい、ガーディナーの『水上の音楽』や、ゲーベルのブランデンブルグ協奏曲を聴いても、せかせかしたテンポで聴いているだけで苛々してくる有様。

この録音集成でも、そっちの系統だとうんざりだなあ、と思って恐々聴き出してみると、これが豈はからんや、春風駘蕩とは言わないまでも極穏当なテンポ設定。おやおや、と思って管弦楽曲、協奏曲、器楽曲、そして最後に収録されているオラトリオまで左程抵抗感なく聴き通す事が出来ました。わたくしは管弦楽が好きなので、一番気に入ったのはシンフォニアと各種の協奏曲でありました。親爺バッハの音楽がいわば一点の揺るぎもない、堂々とした楷書の音楽というイメージに対して、倅バッハの音楽はもう少し情緒に富んだ、色どりも鮮やかな音楽、という印象。文献等によると、倅バッハは親父殿の影響と共に、テレマンからも少なからぬ影響を受けた、とあるので或いはその辺りが反映されているのか、とも。

いずれにせよわたくしは、C・P・E・バッハの音楽に対する基礎知識が、決定的に欠落しているので、偉そうな事が言えたものではありませんが、この録音集成をもう少しじっくり聴き込んでいきたいと思った次第です。
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