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2021年01月06日22:49

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ドイツ軍参謀の観点からの第二次世界大戦論(19)-------ヒトラの英国にに対する希望的観測

第4章 鷲とあしか//バトル・オブ・ブリテン//
4.4 ヒトラと英国------ヒトラの英国にに対する希望的観測

(訳者序)
ここでは,ドイツ軍の参謀が,ヒトラが英国が大陸均衡策に復帰すること望み,直接ことを構えることを望んでいなかったことに対して非難していることに注意してほしい。

<日本語訳>
事もあろうに,ヒトラは,英国との戦争を望んでいなかった。これに対しては,私は,個人的な証言できる。それをする必要はない。というのは,それは,仰々しくて,プロパガンダ的な自己啓示である”わが闘争”に,あからさまに書かれているからである。私は,英国がポーランドに対し,誠意略的に常軌を逸した保障を与えた日の参謀会議で彼の顔を見た。私は,9月3日,リッペントロープの確信とは反対に,英国が進軍しているときに,総統官邸への回廊で偶然にも再び見る機会があった。そのときは,粉々にされた男の顔であった。アドルフ・ヒトラに関するこの事実を堅く心の中にとどめておかない限り,1940年に何が起きたかを理解することは,不可能であった。というのは,戦争の始まりから終わりまで,ドイツの戦略,ドイツの戦術,ドイツの外交政策は,この男の個人的な意思でないことはなかったからである。

歴史的に世界的に見渡しても,その状況に入ったとき,彼の目的や彼の計画よりも,明確だった描像はない。アレクサンダ,カール12世,ナポレオンは,即興,すなわち機会がめぐってきたときに動いたのみであった。”わが闘争”において,ヒトラは,爆弾的な街頭の扇動者の言葉で,権力を握った時に何をおこなう意図であるかを書いた。彼の統治の12年間,彼は実際にそれを行った。かれは,ドイツの政策の核心は,ロシアから領土を取ることであると書いた。この努力は,第二次世界大戦の支点であり,ドイツ軍備の唯一の目的であった。彼は,同様に,このことを試みる前に,伝統的な敵であるフランスをノックアウトすべきであると書いた。

英国の議論において,ヒトラは,”わが闘争”の中で,人種の尚武とその優れた帝国の統治を賞賛している。ドイツの究極の目的は,彼にいわせれば,英国が海上帝国を維持する一方,ドイツは,対当の相手として,大陸の第1の位置にあり,東方に新たな土地を獲得する北欧人種同盟であった。

ヒトラは,この考えから決して離れることはなかった。チャーチルが,彼の多くの休戦の申し出を蹴とばしたとき,かれは,欲求不満の怒りを感じ,欧州のユダヤ人への怒りを爆発させた。これは,彼は,英国のユダヤ人が,チャーチルの不合理な政策に影響を及ぼし続けていると感じたためである。かれは,自殺する殆ど1時間前ですら,英国が光を見て,彼が受け入れ可能な世界の再配置を察し,半分をボルシェビズムへ,残り半分をドル所有の米国へ放棄することないことをただ希望していたほどである。-----結果は,このとおりとなってしまった。

これらの考察により,アドレラングリフの失敗の秘密がわかる。我々が海岸に到達したとき,パニックにある英国に対する戦争を終わらせる作戦計画が無なかったことや,さらに,入念かつ費用を費やして準備された”海の獅子”計画が,非現実との拘りのため,決して実現することがなかったことに対する秘密である。最後の分析は,定番の侵攻に帆を上げることがなかった。これは,ヒトラーが,英国を打ち破る胆力がなく,どういうわけか,我らの軍隊がこれを忖度したためである。

[訳者によるコメント]-----個人的見解
訳者も,ヒトラが英国との戦争を望んでいなかったいう意見に同意する。ヒトラは,チャーチルが”何としてでもナチストイツを潰す”と思い込んでいることを理解できなかった。米国だけでなく,スターリンとも手を結んでドイツを潰しにかかることを,想像できなかったし,創造したくもなかったのであろう。

もし,ヒトラが”英国は,何としてでもトイツを潰す”と自覚し,本気で英国との本格戦を自覚していたなら,海軍と空軍は全く別の編成となっていたに違いない。まず,海軍であるが,有名なZ計画において,まず,ディーニッツ提督が主張したように,水上艦艇は後回しにして,Uボートの建造を優先したであろう。ここではレーダ提督との確執が予想される。さらには,日本海軍の陸攻隊のような洋上の艦船を攻撃する能力とゼロ戦のような制空戦闘機が必要となる。いわゆる,沿岸航空を専門とする海軍航空隊の創設である。ここではゲーリングとの確執が予想されるが,抵抗するようであれば,早晩国家元帥に祭り上げて引退させるか,または,粛清せざるを得ない。

次に空軍であるが,陸軍協調を基調とする戦術空軍ではなく,米陸軍のような戦略空軍が必要となる。できれば,戦闘機に対するロバスト性がつよいB17クラスの長距離戦略爆撃機の開発が望まれるが,これは,いくらドイツでも難しいと予想する。長距離戦闘機と戦略爆撃機は,対ソ戦でも必要不可欠であったのにもかかわらず,この視点が全く欠如していた。逆に言うと,視野狭窄のゲーリングを排除できなかったことも,ヒトラの足枷,および,ドイツの敗戦の原因となったと言わざるを得ない。
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