『アガサ・クリスティー ねじれた家』

　これまた劇場で見落として、つい先日WOWOW放送があった作品。

『アガサ・クリスティー ねじれた家』

　ミステリー作家アガサ・クリスティーの同名原作の映画化。
クリスティー自身が最高傑作のひとつと自負した原作がどう映像化されているのか。

　大富豪の謎の死を捜査すべく孫娘ソフィアの依頼で赴いた私立探偵チャールズ。
各人の言い分から犯人像をあぶりだしてゆく…。
原作は未読なので違いに言及はできないが、これがミステリー女王の最高傑作だとは信じがたいので映像化は難しい作品なのか。

　一癖ある家人たちの、それぞれが抱える秘密に狂言回しの探偵と一緒に推理をめぐらす。
教養を感じさせる思わせぶりな、時に比喩とも取れる台詞まわしは楽しめる。

　『天才作家の妻〜』のグレン・クローズとマックス・アイアンズ、名優テレンス・スタンプなど俳優陣はそれなりに実力者を揃えているとは思う。
しかし、肝心な探偵チャールズの存在感の弱さはどうしたものか。

　それ以上に衝撃的だったのは、衝撃的な幕切れ。
本編のミステリーよりもミステリアス。
どこに落ち着くにしろ余韻が欲しかった。

　豪華な大邸宅や調度品は眼福だったが…。