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2020年02月08日23:58

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新譜之雑談帖(その644)―マーラー 交響曲全集(大地の歌含) レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィル他

指揮者としてのレナード・バーンスタインの録音の中で、マーラーの交響曲全集は、新旧共に後世に長く伝えられるべき演奏、というのは今更論を待たない所か、と。只、わたくし自身の好みでは、バーンスタインの主観が色濃く出た、DGへの全集よりは、ニューヨーク・フィルとの録音をメインにした、ソニー・クラシカルへの録音の方が知・情・意のバランスが取れているのでは、と思う次第。これはわたくしがバーンスタインの晩年の録音が、余り好きではない事にも由来する所でありましょう。

という訳でもう大分前になりますが、ソニー・クラシカルがバーンスタインの古い方の全集をCDで発売した時は、狂喜乱舞(稍誇張的表現)して入荷日に買い込み、DGの録音を持っている曲―全曲ではなく、第1〜第3、第7、第8―と聞き比べ、個人的には矢張りソニー・クラシカル盤の方が好みにあっているなあ、と認識を新たにした次第。

只、バーンスタインは『大地の歌』に関しては、マーラーに対する世間の認識がそこまで行っていなかったからか、或いは自身が左程得意にしていなかったか、でソニー・クラシカル(当時のCBS)に録音したのは、デッカにウィーン・フィルを指揮して録音したもの(1966年録音)より後、イスラエル・フィルを指揮して1972年に録音していて。この録音が日本で発売された当時、わたくしは漸くレコード芸術なんぞを買いだして、新譜に対する批評を読む様になったばかりの頃、でありましたが発売元の大仰な文句が鏤められた広告文に対し、冷ややかな論評―少なくとも激賞、ではなかった―記憶があります。

そんな遠い昔の刷り込みが、心の奥底に無自覚に潜んでいたのか、或いはわたくし自身『大地の歌』が左程好きな曲ではない事もあってか、全集に収められて然るべき『大地の歌』がなくても、それはそれで左程気にしていなかったのでありますが。

ソニー・クラシカルがマスターズと銘打って、様々な演奏家の録音を纏めて再発しているのはこれもまた良く知られている所。先日ブーレーズのベルリオーズ録音集成が出る、と知って大いに喜んで昨日の雑談帖でも感想文を書いたのでありますが、バーンスタインのマーラー交響曲全集も今回同時に発売される、との事。
わたくしが狂喜乱舞して購入した全集は、当初限定盤の触れ込みだったのが、売れ行きが良い所為か今でも輸入音盤屋の店頭で見かけるので、何もデザインを変えて出し直さなくても、と思ったら怖い蟹。今回は何と『大地の歌』込み、というではありませんか。しかも嘗てのLP時代に特典として付けられていた、という「グスタフ・マーラーの思い出」が付いている、との事。全く何てことをしてくれたんだか(慨嘆)。

まあ商売でありますから、発売元の販売施策を批判する立場にはありませんが、それにしても今出すなら何故前回の全集を纏めた時に、という恨みがましい気分は完全には払拭できず。そうそう同じ録音を、このためだけの為に購入する勇気はないので、当分は指を咥えて我慢するしかなさそうです。

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