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2020年01月14日00:35

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『家族を想うとき』

家族を想うとき

 名匠ケン・ローチ監督が度重なる引退宣言を撤回してまで作りたかった作品、いや作らざるを得なかった作品というべきか。
まさにケン・ローチらしさが詰まっていて、いつになっても改善されない世の中では引退したくとも劣悪な社会がさせない。

 日ごろ宅配業者にお世話になることが増えた。
それは英国でも同じで、時間厳守の配送業者の苦労は利用客には今一つ伝わってないのかもしれない。
フランチャイズの宅配ドライバーを選択したある父親に降りかかる災難を描いた社会派ドラマ。
原題「Sorry We Missed You」とは不在票に書かれた言葉。

 不景気の中で庶民はささやかな幸福を求めて生きる。
ところが良かれと思った行動が転落の一途をたどる負の連鎖。

 名匠の覚悟の重さがのしかかるのだが、一方で「息子の問題」がやや引っかかる。
日本でも一昔前ならどの家庭でも一家だんらんを囲む時間があっただろう。
それがいまやどうか?
家族で夕餉を囲む風景は遠い記憶になってやしないか。
そんな環境では家族間の関係がぎくしゃくするのも頷けないわけではない。
ただ、それであってもバランスとして息子の問題の比重が大きいように感じてしまう。
社会の劣悪なシステムの方に素直に目が行く展開でも良かったのではないだろうか。

 口がウマい企業と立場の弱い労働者の不公平な取り決めには公的な保護も必要だろう。
「騙されるやつが悪い」という自己責任論には違和感を覚える。
出口の見えない未来と向き合わねばならないのは我々自身。

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