mixiユーザー(id:2566286)

2019年10月25日22:20

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藪の中の黒猫


『藪の中の黒猫』
焼け野原で黒猫が舐めるケロイドのような傷を見ると、戦後上層イデオロギーの政治家暴徒(日本だけではなく戦後日本に関わるいかなる国や状況も含めたもの)を侍と照らし合わせているのか、とか、観ていきながらも、それを表すよりももっと根源的な人間の”本能”とそれが生み出す世界というものを、新藤のテクストを照らし合わせると彼のこの作品で表すものは、それなのか、となる。猫がその本能に従って生きるように、人の世もまたそうなのである。観る前はザッと解説を見ると、大地喜和子を京マチ子とダブらせる感覚で、ミゾグチ的な、或いはクロサワの羅生門的な幽玄の運命世界が表されているのか、となるも、中井朝一や宮川一夫のような絵力を感じさせずとも、オープニングタイトルが終わってからの2ショット目は望遠レンズでクロサワをちょっと感じさせたけれど、近代映画協会って実はお金いっぱいあったのかと、いやらしい話、それを感じさせるセットと撮影だなとなるも、大地喜和子がちょっといやらしい、と思わせるも、作り込みしているせいか、いつもの新藤兼人の無常感がそこまで出ていないのかな、となる。でも、おもしろかった。馬の走るシーン、こういったものも撮れるのか、そのアクションに唸る。




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