mixiユーザー(id:5087127)

2019年10月17日23:47

168 view

新譜之雑談帖(その612)―カール・ミュンヒンガー録音集成

今や還暦1年生(もうすぐ2年生)のわたくしが、クラシック音楽を聴き始めた頃、バロック音楽もそれまでに比べると聴かれる機会が―何時ぞや御紹介した、皆川先生の様な方々の尽力もあって―随分増えて来ていました。

その頃はバロック音楽を聴いている、というと「ヤ、オヌシ音楽通ダナ」という捉えられ方を(少なくともわたくしの周りでは)されていましたが、バロック音楽でも伊太利亜系の演奏が好きな者はイ・ムジチ合奏団の演奏を、仏蘭西系の演奏を好む者はジャン・フランソワ・パイヤールを、独逸系の音色を好む者は、カール・ミュンヒンガーかカール・リヒターの演奏を、新しい趨勢の演奏を御贔屓にする者はネヴィル・マリナーの演奏を、と云った具合に、ある意味棲み分けが出来ていました。

それから幾星霜、今や時代はわたくしの嫌いなオーセンティックを売り物にする、無闇にセカセカした刺々しい、自己主張ばかり鼻に付く様な連中が跳梁跋扈する時代となり。先に挙げた演奏家諸氏の録音なぞ、リヒターの物を除くと殆どは御蔵入りとなって、聴きたいと思ってもそう簡単に聴けない時代に。
昨今、それでもパイヤールは全録音集成が出る、イ・ムジチの演奏は新録音こそないものの、往年の演奏は今尚根強い人気を維持し、マリナーも先達て、まあアカデミーの録音集成という形ではあるもの、かなりの部分が復活したりしているのでありますが、一人ミュンヒンガーの演奏のみは仲間外れ。もう少し彼の録音についても、光を当てる機会はないのか、と思っていたらわたくしの声が聞こえたのか(只の音楽ぢぢいの誇大妄想)、英デッカの御蔵入り録音を積極的に手掛けている豪州エロクエンスから、ミュンヒンガーの録音がまとまって再発される、との告知が。おや。

バッハの録音は、これまでも散発的に発売されていた様で―わたくし、左程ミュンヒンガーの録音については詳しくないので―今回は全部で4点、順不同で

・バロック・レガシー(8CD)
・クラシカル・レガシー(8CD)
・小品集&20世紀弦楽作品集(2CD)
・リスト交響詩集他

と云った塩梅。わたくし、ミュンヒンガーの演奏について多くを知らないので、これで主だった録音が網羅されているかどうか、不明なのですが「バロック・レガシー」にはヴィヴァルディの四季のモノラル録音、ステレオの新旧録音の都合3種類を収めているので、わたくしの想像は当たらずと雖も遠からずではあるまいか、と。

わたくし自身、ミュンヒンガーの録音で実際に蔵しているのはヴィヴァルディの四季のステレオの旧録音のみ、でありまして。四季については、ミュンヒンガーの演奏贔屓だった、高校時代の音楽愛好家の友人K君が激賞していて、後年CD時代の初期に音盤を入手して聴いてみましたが、左程感心しなかった記憶が。
まあこれは、わたくしの四季の刷り込みがイ・ムジチ(ステレオのアーヨ盤)だったので、方向性が違っていて受け入れにくかったのかも知れません。

ミュンヒンガー自身は、バロックから出発して、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、そしてロマン派の作曲家と独逸指揮者の王道を行く腹積もりであったのが、そちらの方は余り芽が出なかった様な。これを好機として、嘗て世評の高かったバロック音楽の録音集に手を出してみるかなあ(未聴盤がまたまた山を為す恐れは濃厚なので、逡巡する思いも強いのでありますが)、と空想を逞しくしている所であります。



1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する