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2019年10月06日22:20

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新譜之雑談帖(その609)―ベートーヴェン交響曲全集+荘厳ミサ曲 アルトゥール・トスカニーニ/NBC交響楽団(6CD)

来年はベートーヴェン生誕250年に当たるという事で、色々な企画物があれこれ発売・発売告知されて居りますが、ソニー・クラシカルからマスターズのシリーズとして、ベートーヴェンの作品集を4種類出すとの告知が。ヴァイオリン・ソナタ全集、弦楽四重奏曲全集、室内楽曲集、そして交響曲全集というラインナップは、格別驚かないのですが、交響曲全集として発売するのがアルトゥーロ・トスカニーニによる演奏、とあっておやおやという思いを禁じ得ませんでした。

先ず第一に思ったのが、何もモノラル録音のトスカニーニの録音を引っ張り出してくなくても、という点。しかしよく考えてみると、RCAにステレオ録音を残していたミュンシュやライナーは、全集を完成して居らず、コロンビアで見てみるとワルター、セル、オーマンディ、バーンスタインは何れも比較的最近全集として纏められているし。となると、トスカニーニの録音の御蔵出し、という事になったのかと何となく納得。

次に、そうは言ってもトスカニーニの演奏は、嘗てのRCAの大看板。マスターズの統一デザインに当てはめるにせよ、人々の脳裏に印象的なのは、これまで使われてきた、こっちの写真ではあるまいかと。これも良く考えてみると、個人的な感想にしか過ぎないので、別にどのような写真を使っても大きなお世話でありまして。

それにしてもトスカニーニの録音は、再発時にしてもCDの解説書の表紙には、写真に挙げた様な古別の写真が使われていて、統一デザインに嵌められてという事はなかった筈なんだが、と大時代な感想を。しかし良く考えてみると、ヴェルディのオペラと鎮魂曲を纏めた録音集(わたくしはこちらを蔵して居ります)は、RCA時代の『コンプリート・コレクション』シリーズ(シュトルツのウィンナ・ワルツ集や、カルーソーの全録音集が、このシリーズに収録されていましたね)で出て居りまして。

当初告知に接して浮かんだ感想は、よく考えてみると斯くの如く何の根拠もない、思い込みに過ぎない事が明らかになって、我ながら情けない所。わたくしはトスカニーニの演奏は、決して嫌いではないので、この全集も蔵して居りまして。フルトヴェングラーやベームの演奏程、愛着度が高くはないので、そう頻繁に引っ張り出して聴く機会は少ないのですが、それでもよく言われる剛直な演奏には心惹かれるものが。
薄っぺらい経木細工の様なベートーヴェンの演奏が、近年は流行りの様ですが、少しはトスカニーニでも聴いてみて、ベートーヴェンの音楽の多様性に思いを馳せるのも、また一興かと思う次第です。

 
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