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2019年09月21日10:38

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したいざんまいしつくして

おもふまま為(し)たいざんまい為つくして死にゆきし父はうらやむべかり

金沢種美

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九鬼周造の「情緒の系図」(岩波文庫『「いき」の構造』所収)を読んでいたら、こんな歌が引用されていた(p.166)。
「情緒の系図」には「歌を手引として」という副題があり、「新万葉集」の第二巻の中の歌2870首を具体的例証として用い、「感情の諸相やその連絡を調べ」ている。
金沢の歌は「羨」の例示として引用されている。「羨」とは、「他者の所有物が、愛すべきもの」であるときに起きる感情だ(と九鬼はしている)。

調べてみると、金沢という歌人は人名辞典にも載っていいて、それなりに知られた歌人であるようだ。斎藤茂吉などとも交流があったようだ。
(余談だが、斎藤茂吉のお孫さんが大学のクラブの先輩で、何度かお会いしたことがある。)

ただ、金沢種美が羨んだ「父」がどのような人物で、どのように「したいざんまい」の人生を送ったのかは現時点では調べがつかなかった。

ただ、自分の息子から、こんな風に歌われる人生は、本当に羨ましいと思った。

◆品田悦一著『斎藤茂吉』を読む。その2
http://www.banraisha.co.jp/humi/eda/eda150.html
◆九鬼周造『情緒の系図』ノート
http://technoscenario.web.fc2.com/jyoutyo/_body.html

◆金沢 種美(カナザワ タネトミ)
https://kotobank.jp/word/%E9%87%91%E6%B2%A2%20%E7%A8%AE%E7%BE%8E-1642382
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)
昭和期の歌人
生年明治22(1889)年7月5日
没年昭和36(1961)年11月8日
出生地大阪府池田市
本名金沢 宥信
別名別号=金沢 美巌(カナザワ ビガン)
学歴〔年〕東洋大学国漢哲学科卒
経歴学生時代尾上柴舟に師事し、第2次「車前草」の創刊に参加。卒業後は新聞記者を務めるかたわら作歌し「水甕」同人となり、自ら「黄鐘」を主宰する。歌集に「密林」「ぽんたると」などがあり、他に「短歌への認識」などの著書がある。新聞記者、住職を務めた。
◆著作の一覧
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/25955.html

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