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2019年09月07日17:04

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正義と大義−ゴルゴダ

「自衛隊というのはね、張子の虎ではダメなんだ。自衛隊に課せられている専守防衛の理念は、反撃を禁止するという意味では断じてない。戦略守勢なんだよ。先制攻撃はできないかもしれないが、2005年の改正で緊急対処要領に基づく先制的自衛権の行使も可能となった。不満はあるが、私はこの専守防衛という言葉は嫌いではないよ。やられたらやり返すというのは単純でいい。大義が揺らぐこともない」
「大義ですか」
「軍隊を動かすのが正義であってはいかん。大義だ」

深見真『ゴルゴダ』(徳間文庫・2010年)p.272

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前回の日記から3週間ほどが経ちました。
途中、遅い夏休みを取っていました。
その間、色々と経験しました。
そんな話もいずれ。

金曜日の夜、11時過ぎには眠くなったので、布団の中で図書館から借りてきた本を少しだけ読んでみようと思った。ところが、読み始めたらと止まらなくなり、気が付いたら午前5時になっていた(笑)。

宣伝用の粗筋は以下のとおり。

「最強と謳われる陸上自衛官・真田聖人の妻が斬殺された。妊娠六ヵ月、幸せの真っ只中だった。加害少年らに下った判決は、無罪にも等しい保護処分。この国の法律は真田の味方ではなかった。憤怒と虚無を抱え、世間から姿を消した真田は復讐を誓う。男は問う--何が悪で、何が正義なのかを。本物の男が心の底から怒りをあらわにしたその瞬間……残酷で華麗なる殺戮が始まった。」
https://www.amazon.co.jp/dp/B00O1CDDFM

しかし、実際の内容は、この宣伝文句とは少し違っている。
主人公たちは、自分たちが追い求めるものを「正義」ではなく「大義」と呼ぶ。
また、主人公の行動は、「復讐」というものの性格を大きく逸脱する。

警察官たちは、主人公について言う。
「真田聖人は復讐鬼じゃない。快楽殺人者でもない。目的達成のために暴力、脅し、恐怖を利用する犯罪者はテロリストだ」(p.297)

エンターテイメントとして優れているうえに、色々と考えさせられるセリフもあった。
主人公は「目的達成」のためにテロリストとなったが、何が「目的」であるのかは抽象的な形でしか提示されない。

「PSYCHO-PASS」のノベライズ作品(角川文庫)から深見真という作家を知ったのだが、これは当たりだった。

「法」(法律・司法・秩序)は、正義の実現を目指す。その法の外(法外)に、大義などというものはあるのか。「ゴルゴダ」も「PSYCHO-PASS」も、そのことを共通のテーマとしているように思われた。

◆読書メーター「ゴルゴダ」
https://bookmeter.com/books/610620

◆PSYCHO-PASS(サイコパス)
(1)紙の本の薦め(2019年07月07日)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972162630&owner_id=2312860
(2)コミッサちゃん(2019年07月11日)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972214083&owner_id=2312860

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