《アート》かぐや、村内八王子

先日の参議院選挙。比例代表でのKM党の得票数が前回比100万票も減ってしまう。
痔民党の金魚のフンとしてのレゾンデートルを見せつけていたが、この結果は関係者の間でかなりの衝撃で捉えられていると伺った。
なので、台風も来ないようだし景気付けにと一路、黒マーチを飛ばし（←飛ばない）八王子創価村へ行ってきた。

今朝の日経新聞では「高畑勲展」（東京国立近代美術館）のレコメンド記事が掲載され、ただでさえ混雑の竹橋はいよいよ大混雑の様相。
一方、「山本二三展」（東京富士美術館）。
ガードマンさんに混雑状況を伺うと「込んでますよ駐車場もいっぱいだったでしょ」と、微笑みの顔つき。
入館してわかったが、このガードマンさんの答えはあくまでも『当館比混雑』であって、実は駐車場も待つことなく入れられた。
確か、ここの入場記録は刀剣展のときだったと記憶しているが、アニメファンは創価村まで足を伸ばすことはないようだ。

『山本二三展』（東京富士美術館）
おそらく父親が23歳のときに産まれた（←未確認）元祖アニメーター。
背景画家としての作品歴は『未来少年コナン』『ルパン三世』『じゃりん子チエ』『天空の城ラピュタ』『もののけ姫』と、枚挙にいとまがない。

『時かけ』の夏空に浮かんだ積乱雲こそ「二三雲」と呼ばれ、おいらでさえジブリの場面に思い浮かべることができる。
撮影厳禁、原画やイメージボード二百数十点。
なつぞらにはまだ登場していないが、アニメ黎明期に高畑勲や宮崎駿とともに活動した山本二三。8月にはなつぞらに出てくるはずだ。


企画展に力を入れすぎてしまったのか、いささか拍子抜けの常設展。
あてにしていたシダネル2作品の展示はなく、印象派もモネはなし。

ルノワールの肉厚女子が、とても快く視界に入ってきた。肖像画と風景画に溢れていた常設展、一服の清涼剤。
7つ目の展示室は写真の企画展。杉本博司の彼らしい作品を見つけて、これが今回マイベスト。
企画展以上に、常設展が空いていた。上野の喧騒を思えば、とてもありがたい。

東京富士の受付でイベント中の「八王子美術館巡り」スタンプラリーに案内された。
ここの他に、八王子市夢美術館と村内美術館。
夢美術館は開催中の企画展があれなので、もともと訪館予定だった村内へ足を向ける。
その前に腹が減った。時計を見たら、東京富士には90分の滞在。そろそろ創価村をあとにしないと、いろいろと危ない


『世界の名作家具デザイン展』＋『東西名画展 日本とフランス』（村内美術館）
創価村から抜け出して黒マーチでわずか5分。家具は村内八王子の総本山が見えてくる。
その前に腹を満たす。これ必須。
地下駐にクルマを留めて、ビル全体が家具店の3階へエレベーターを上がっていく。
家具屋店内も客はまばらだというのに、美術館はさらにまばら。というより、ほぼ貸切。
展示されている作品も含めて、予想外に最高である。いや、「最高」は褒めすぎか。
600円の入館料を払うと、りっぱな作品解説のパンフレットを渡され、スタンプラリー参加の勧め。
会話を続けようと思えば、いくらでもお相手いただけるようなほど、人恋しそうな受付のおねえさんだった。

さすがは家具店。展示室にこれでもかというほど並べられた名作椅子。
写真・縦は磯崎新設計の「モンローチェア」。

ご存知、リートフェルト『レッド＆ブルーチェア』。
右上はSANAAの2人、妹島和世と西沢立衛の『ラビットチェア』
金沢マルビ21に常設されている。
右下は世界遺産野郎のル・コルビュジエ『マスキュロンチェア』。
素敵な椅子の数々なんだけど、その上方に視線を上げると絵画も展示してあるので、少々忙しい。

村内コレクションもセンスがいい。

著名な作品は見つからなかったけど、マネ『スペインの舞踏家』はタンバリンに描かれた珍品。

日本画では後藤志朗『斑鳩の夢』が印象的。五重塔の上を舞う金の天女が独創的。

現代フランス作家では1992年作『シェール川沿いの騎馬隊』（ブラジリエ）が一押しだった。
バルビゾン派、印象派、ポスト印象派、そして近現代。

わずか1年半、今年の1月をもって閉館したホテルニューオータニのマリーローランサン美術館。
たくさんのローランサンさん作品を見る機会は失われたが、村内に1枚見つけた。
右にはビュフェとシスレー。マーベラス。

今日の発見は、村内翁がパトロンだったのだろう、智内兄助（ちうち・きょうすけ）の幻想的なミクストメディアが素晴らしい。

村内本館には2階にも販売用ギャラリーを置き、絵画好きの家具好きを逃さない。
そこに一つ、アトリエが置かれ、クジラの作品が数点。

『ふぞろいの林檎たち』以降、その姿を見かけなくなった（当社比）国広富之は、いま、ここでクジラの絵を描いていた。

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