チェコの名指揮者カレル・アンチェルは、政治体制に翻弄された悲劇の音楽家、として知られている所。それでもステレオ時代にチェコ・フィルを指揮して、結構な数の録音を残して居りますが、十八番のドヴォルザーク、スメタナについては案外録音の数が少ないのでありまして。
これは当時のスプラフォンの営業政策的なものだったのか、或いはアンチェル自身に他日を期す意向があったものか。何れかが真相であったか、知る由もないのでありますが。
それでも今回、亡命後常任を務めたトロント交響楽団との『モルダウ』のリハーサルと演奏、そしてチェコ動乱直前のチェコ・フィルとの『わが祖国』全曲の録音が、某Altusから発売される、との告知が。恐らく前者は、嘗て映像が売られていたもの、そして後者はモノラル録音のDVDや、別レーベルのステレオ音盤で発売されていたもの(演奏日は異なっている様ですが)ではないか、と思いますが、リハーサルの録音が大好きなわたくしとしましては、これは朗報。
アンチェルが亡命先のカナダで、チェコ人としての誇りを持って演奏したモルダウを、リハーサルでどの様に構築していったのか、そしてその成果は演奏にどのような形で反映されたのか、大袈裟に言えば興味津々でありますね。
ログインしてコメントを確認・投稿する