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2019年02月04日23:59

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新譜之雑談帖(その540)―ヴァーツラフ・ターリヒの芸術(22CD)

わたくしは御多分に漏れず、ドヴォルザークやスメタナの管弦楽曲が大好き、でありまして。何とも言えない、郷愁や哀愁をそそるような旋律美には、たまらぬものがあります。
チェコ出身の指揮者は、こちらが先入観がある所為もあるのかも知れませんが、御国物の作品の演奏は、矢張り群を抜いた出来栄えを示して居りまして。その中でもわたくしが第一に指を屈する指揮者が、ヴァーツラフ・ターリヒ。個人的には、録音状態を気にしないのであれば―昔の演奏家なので、録音は全てモノラル録音―ドヴォルザークやスメタナ等の作品で、この人の録音がある作品については、第一に指を屈すべき演奏と思って居ります。

それだけに今から10年程前、チェコの音盤レーベルであるスプラフォンがターリヒ・エディションと銘打って、スプラフォンに残した録音をリマスタリングして出してくれた時は、もう狂喜乱舞(大袈裟)。いやあ、良い時代になったもんだ、と実際の発売を首を長くして、一日千秋の思いで(大袈裟)待ちわびたものです。また音盤の仕上がり具合も、期待を裏切らない(少なくともわたくしに取っては)出来、でありまして。リハーサル風景も収録されたものがあり、ターリヒの謦咳に接する事が出来たのも(生憎わたくしはチェコ語は全くの門外漢なので、何を言っているのかは全く分からないのですが)望外の幸せ、でありました。
最近は、輸入音盤屋の店頭で見かける事は無くなりましたが、それでも廃盤ではない様で、今でも取り寄せが可能なのは大いに慶賀すべきことか、と。

所が一体何を考えたのか、或いは遂に本性を現したというべきなのか、伝統の十八番の技を遺憾なく発揮する事となったのか。例の某Kの国のARTISレーベルが、スプラフォンのターリヒ・エディションを丸々パクった、「ターリヒの芸術」なるボックス・セットを出す、との告知が。

これまでここから出ているボックス物は、あちらこちらのレーベルから出ていた演奏をひとまとめにしたもの、でありまして。ばらけているものを一つにまとめて、と言う点では功罪の功の部分と言えなくもなかったのでありますが(大半が入手困難なアイテム、となっているので)、今回のターリヒのボックスは、未だスプラフォンのターリヒ・エディションが全部入手可能なだけに、わたくしとしましては大顰蹙物。矢張り蛙の子は蛙、剽窃とパクリは骨の髄まで沁みついているのか(以下自粛)。

しかし、オリジナル音源の発売元からの音盤が、健在なのにそのパクリ物を出す、と言う危ない橋を渡らなくてもなあ。探せばまだ、発掘の価値のある音源はいくらでもあろう、と思うのですが(尤も個人的には、此処から出されるとちょっと困る部分もあるのですが。写真は今回のパクリ・ボックスとオリジナルのターリヒ・エディションのうち、ドヴォルザークの第八・第九交響曲を収録された一枚のもの)。
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