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2019年01月02日23:48

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新譜之雑談帖(その531)―小澤征爾DG録音集成(50CD)

ワーナー(旧EMI)、デッカ(旧フィリップス)からの録音集成が発売されている、我等が小澤征爾の録音。この程漸くDGも重い腰を上げて―或いは事前リサーチで、売れるという目算が立ったのか、先達て発売された8枚組の録音選集の評判(乃至は売れ行き)が良かったのか―小澤の全録音集成を出す、との告知が。

個人的には、健康状態が許せば、海外のオーケストラを振りまくってほしかった所でありますが―嘗て石もて追われる如く、N響とボイコット事件を起こし、海外に活路を見出して、その活躍舞台を拡大してきたのでありますから―こればかりは外野(しかもど素人)が寝言をほざいても、何の影響もない訳で。

嘗て(毎度毎度の)駐在員稼業時代、同じクラシック音楽ファンの方(此の方は小澤氏とも親交のある方、でしたが)が「小澤さんは録音にそんなに熱心じゃなくて、依頼があればやるというスタンスだから」と窺った事があります。確かにDGへの録音で、全集が出来上がっているのは、ベルリン・フィルとのプロコフィエフの交響曲全集くらいかと。サイトウ・キネンとのベートーヴェン、ブラームスの全集を除くと、後は旧フィリップスへのマーラー交響曲全集くらいでしょうか。DGへ録音を始めた頃、幾つかの作品を録音したベルリオーズ、ラヴェルも主要曲をあらかた録音する、という所迄はいかなかった様ですし。

最近読んだ山本直純伝では、若き日の直純氏は小澤氏に対して「お前は世界の頂点を目指せ。俺は日本の音楽かいの底辺の拡大を目指す」と云ったそうで。確かにその後の二人の軌跡は、そうした方向へ進んでいった、と首肯できる部分はあります。
直純氏の没後、水戸室内管弦楽団やサイトウ・キネンでの活躍を見ると、直純氏が手掛けていた底辺の拡大に意を注いでいる様にも思えます。まあ確かにボストン交響楽団をの常任指揮者を30年近く勤めあげ、ウィーン国立歌劇場の音楽監督も勤めたのでありますから、頂点に立ったと言っても大袈裟ではないでしょう。

体力的な問題もありますから、勝手な事は申せませんが、それでも晩年を日本のオーケストラを振るのは、独断と偏見では才能の無駄遣いの思いを禁じ得ない所。それでも数多くの録音で、小澤氏の足跡をたどるのも、悪い事ではあるまいと思います。


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