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2018年09月05日23:27

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澤瀉久孝『萬葉集注釈』

澤瀉久孝(おもだかひさたか)の『萬葉集注釈』の巻第一が古本屋にあった。
この本は、「万葉集」1巻ごとに合わせて1巻を使って「注釈」し、「全二十巻・別館二巻」の構成になっている。大きな図書館などで見かけるのだが、あまりにも訓詁的な説明が多く、あまり真面目に読んだことがなかった。しかし、そうした訓詁的なものにも一度は触れてみるべきかとも思い、巻第一を買ってみた。
万葉集の巻第一には、84首しか載っていない。全部で4000首を超える歌を二十巻に収める中で、この数は少ない。その84首について450ページほどを使って注釈しているのだから一首ごとに読み応えがある。

【書誌】
1957年初版
1982年普及版初版
1990年普及版再販

版元の中央公論社は、「現代至りうる最高最大の萬葉集全注釈」と帯に書いている。

漠然と、「戦前からの万葉集研究の大家」というイメージを持っていたが、ウィキペディアで著者の略歴を調べてみた。

「研究人生を『万葉集』一筋に費やした万葉集研究の大家で、特に訓詁の重要性を説いた。昭和26年、萬葉学会が設立された際、その代表者に推された。また、彼の代表著書のひとつである『万葉集注釈』の完成に対し、1967年(昭和42年)に第37回朝日賞が贈られた。」
「1968年、萬葉学会の全国大会のために静岡に滞在中、当地にて心不全のため死去。享年78。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BE%A4%E7%80%89%E4%B9%85%E5%AD%9D

なるほど、「訓詁の重要性を説いた」のか。

ついでに「訓詁学」についても調べてみた。

「訓詁学(くんこがく)とは、中国の伝統的な言語学のうち、語の意味を研究する分野をいう。とりわけ漢以前の古書に見られる古代語を研究した。その著作は古代の書籍に注釈する形のものと、語を集めて分類し語義を分析したもの(義書)がある。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%93%E8%A9%81%E5%AD%A6

経済学説史などで「訓詁」的と言うと、学説の現実的な意味を省みない「学問のための学問」「理論のための理論」のような意味で、否定的・消極的に使われることが多い。しかし、「言語」に関する学問では、まさに「訓詁学」こそが重要だということもあるのだろう。

余談だが、この著者名の「澤瀉」の読み方を毎度忘れてしまう。「おもだか」と読むそうなのだが、一種の熟字訓なのだろうと思っていた。
今回、調べてみたら「おもだか」というのは植物の名前で、その一種の漢語が「澤瀉」「沢瀉」(たくしゃ)なのだそうだ。

これもウィキペディアによれば「オモダカ科」について次のように書かれていた。

「日本においてオモダカは「勝ち草」と呼ばれることもあり、戦国武将や大名家でオモダカの葉を意匠化した沢瀉紋が家紋として使用された。前者の例には豊臣氏や木下氏、福島氏があり、毛利氏も副紋として使用している。後者の例では徳川家譜代の家臣水野氏のそれが著名である。 」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%83%80%E3%82%AB%E7%A7%91

何かそういう素性の先祖をお持ちの方だったのだろうか。

◆吾にこそは告らめ−漫葉集(0010)(2018年09月02日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1968169741&owner_id=2312860
◆漫葉集-萬葉集に関する日記の目次
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=2312860&id=1882704729

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