『
犬ヶ島』
スタイリッシュな映像美で知られるウェス・アンダーソンのストップモーション・アニメ。
唯一無二を望むならばこれ以上のものはないかもしれない。
今回の作品は日本が大きなウェイトを占めている。
舞台が近未来の日本というだけではなく、作品への影響力やサウンドトラックまでも及ぶ。
浮世絵、和太鼓や相撲といった文化面のみならず、露骨なまでの黒澤明オマージュ、東宝のゴジラシリーズの影響も垣間見える。
アタリ少年が愛犬スポッツを探しに<犬ヶ島>へ行くのだが、そこに捨てられた犬たちに政治的メタファーを見ることができる。
独裁者の一言で弾圧&抹殺されるのは現在の右傾化した社会を思わずにはいられない。
ひと目見てW・アンダーソンと分かる横移動を使った演出は本作でも生かされる。
至る所の細部まで手が入っていて、また情報量が極めて多いために動体視力と咀嚼力が追いつかない。(幾度となく「ここはゆっくり見せてくれ!」と感じたことか。ソフト化されたらリモコンでストップモーション鑑賞必須!)
寿司作りの過程の緻密さなんて本作でどういう意味合いを持つのか分からないが、ただただ凄まじい。(笑)
またヴォイスキャストの豪華さに驚嘆。(それだけに主人公アタリ少年の声だけ何とかならなかったか…。)
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