アイヒマンの「悪」の生み出したものとして、アレントは「thoughtless」を強調する。引用した文章の中では「無思想性」と訳されているが、「思考の欠如」として考えた方がよいかも知れない。アレントは、後に『The Life of Mind(精神の生活)』の中で「思考」について探求することになる。
医学部に合格する人や国家公務員として出世する人は、一般的には「頭のよい人」ということになる。しかし、そうした「優秀な人」に、アレントの言う意味での「思考」が欠落していることは、充分にありえることなのだ。
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