雑誌にとって、もっとも大事なのは編集後記だ。後記のつまらない雑誌に面白いものなどない。ちゃんとした作家は後記のくだらない雑誌の仕事などしないものだ。雑誌とはそうしたものなのだ。最近は、雑誌はただの商品だが、筆者は雑誌というのは思想だと考えている。思想なのだから、その思想の根源に触れる後記に自分が一致出来ないなら、そこに作家として集うべきではないのだ。
さて、そこで、こんな企画はどうだろうか。
ありもしない雑誌のタイトルを考え、その雑誌の後記を書いてみるのだ。たとえば「ギャオスの憂鬱」という通販雑誌の後記。あるいは「素敵なドラゴンの休日の過ごし方とファッション」という中年男向けのファッション雑誌の後記。小説雑誌も欲しい。たとえば「倉庫」なんていう小説雑誌の後記。たとえば「堕月」なんていう小説雑誌の後記。これは「だげつ」ではない「おちつき」であり、最初の後記には、その命名理由なども書かれることだろう。それも面白そうだ。
編集後記。これほど甘美で淫靡な読み物が他にあるだろうか。社説を集めた本は多くあるが、編集後記を集めた本は少ない。新聞に社説があるように雑誌には編集後記があるのだから、これは立派な作品になると思うのだが、それを集めた本が少ないのも残念だ。
そこで、この、雑誌タイトルと編集後記だけを書くという企画、これもぜひやってみたい。
ログインしてコメントを確認・投稿する