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2018年03月05日00:06

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新譜之雑談帖(その458)―カール・ミュンヒンガー/シュトゥットガルト室内管弦楽団名演集(10CD)

わたくしがクラシック音楽を聴き始めた、昔々の高校生時代(またやまたや)には、バッハの演奏と申しますと独逸の指揮者ですとカール・リヒターか、カール・ミュンヒンガー、仏蘭西の指揮者ですとジャン・フランソワ・パイヤール、比較的現代的な感覚の演奏、という事ですとネヴィル・マリナーと云ったあたりの指揮者の名前が挙げられる事が多かった、と記憶しています。
今を時めく(でもないか)某アーノンクール辺りは、前衛的なバッハ演奏と言う位置付けであった様に記憶していますし、所謂古楽器系の演奏ではコレギウム・アウレウム合奏団の演奏がありましたね。それから40年の時を経て、先ほど名前を挙げた指揮者の中では、アーノンクール、リヒターを除くと殆どその名前を聞く事は無くなって仕舞った様に思います。

特にミュンヒンガーは、嘗てはデッカのバロック音楽の看板演奏家として、結構な数の録音を残して、アルヒーフ(DG)のリヒターと張り合っていたのでありますが、最近は録音が再発される機会もめっきり減って来た様です。そんな中、例のメンブラン・レーベルよりモノラル期からステレオ初期に掛けての、ミュンヒンガーの録音がまとまって発売されるとの告知が。

ミュンヒンガーが没したのは、1990年の事なのでもうすぐ30年になる訳ですが、現役時には競い合っていた形のリヒターの音盤が、今尚現役盤として入手可能であるのに比べて随分寂しい状況にありますね。これはリヒターの音楽性が優れていたがミュンヒンガーのそれが駄目、という訳ではなくて偏に時代の趨勢というだけ、でありましょう。
尤もわたくしはミュンヒンガーの演奏は余り好みではなく、蔵している音盤は古い方のヴィヴァルディの『四季」くらい。この演奏は、高校時代の趣味を同じくするK君が激賞していたので、CD時代になってから購入したのですが、独逸色が強くて、余り気に入りませんでした。わたくしは平凡な音楽的好みの持主なので、矢張りこの曲はイ・ムジチの最初のステレオ盤(アーヨ独奏)か、モノラル盤の艶やかな表現が好きですね。そういえば最近はイ・ムジチの名前も聞かなくなりましたねえ……

最近の只の自己流の主義・主張ばかりが先行する、古楽器系の刺々しい演奏が廃れれば、またミュンヒンガーやパイヤール、マリナーやイ・ムジチの演奏も再評価されるであろう、とは思いますが(近年のストコフスキーの演奏や編曲物に対する、再評価の趨勢を踏まえると)、さていつの事になりますか。
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