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2017年09月27日23:50

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音盤之雑談帖(その4)―フルトヴェングラー「ルツェルンの第九」

数年前に、共同主催者であった旦那さんが他界して仕舞って、活動を停止して仕舞ったTAHRAレーベル、でありますが、そのうちの幾つかの音盤はAltusから再発されているのは、御存知の事かと思います。
この程、有名なフルトヴェングラーの最後のベートーヴェンの第九交響曲の実況録音、所謂『ルツェルンの第九』が再発される事になったそうで。おお、それはそれは。

昔々のLP時代、チェトラ原盤でこの演奏のLPが発売された時は、物凄く期待して購入したのでありました。が、どうもエンジン全開になりそうでならない様な、何度聴いてもこれがフルトヴェングラーの第九かなあ、と首を傾げたくなるような不完全燃焼としか思えない様な印象が。この演奏は、確か大村さん(だったかな)という女性の方の、実際に会場でこの演奏を聴いた方の、感動的な体験記が昔のレコード芸術に掲載されていまして。このLPにもその印象記が復刻されてついていたのでありますが、どうもそれとは裏腹の印象しか抱けなかったものでした。

それから幾星霜、今は無くなって久しい銀座の某親方之声音盤店で、このCDを見つけまして。「従来知られていた音盤を消し去る程の、各段に優れた驚異の音質」てなキャッチ・コピーがついておりました。
う〜ん、本当かなあ。こういうのは煽り文句だけでしかなくて、実際は大した事がない場合が多いし。しかも聞いた事のないレーベルからだし。どんな物かなあ、と散々購入を躊躇したのでありますが、イチかバチかと思って買ってみて、聴いてみる事に。最初にフルトヴェングラーの謦咳が収録されていたのにまず腰を抜かし。そし実際の演奏がヘッドホンから(わたくし、CDを聴くときはヘッドホンを使って聴くのが常、であります)流れて来た途端、こしを抜かさんばかりに驚きました。な、な、なんだこの音は。これまで聴いていたLPとはまるで違うじゃないか。こんなに鮮烈な録音だったとは。

余り魂消たので、聴き終えた時は汗をびっしょりかいていたのを今でも覚えて居りますが、この一枚はわたくしを輸入盤マンセーぢぢい(それまでも国内盤にない録音を収録した音盤には、手を伸ばしてはいたのですが、まだ購入の中心は国内盤でありました)に変身させるに至った、決定的な一枚でありました。

この音盤は幾らかステレオ・プレゼンスが加えられているとかで、後に純正モノラル盤も同じTAHRAから発売され、そちらにも手を出して。その後随分TAHRAの音盤には散財を強いられたものであります。此処へ来て、同じデザインで復刻盤が出るという告知に接し、昔を思い出した次第。あれからもうずいぶん経ちましたねえ……
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