『
エル ELLE』
ゲーム会社の社長を務めるミシェルはある日、一人でいるときに自宅でレイプ被害にあう。
しかし、彼女は警察に届けずに自分で犯人探す“ゲーム”を始める。
やがてそこには警察を避けたい過去が浮かび上がる。
『氷の微笑』や『ロボコップ』のポール・ヴァーホーヴェン監督が『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』の原作者フィリップ・ディジャンの作品をメガホン取ったとなれば、必然的に問題作となるはず。
そして予想通りエロとバイオレンスのヴァーホーヴェンらしいミステリードラマに仕上がっている。
当初、アメリカ人女優にミシェル役をオファーしたそうだが(ヴァーホーヴェンの馴染の女優も含まれるというから“あの人”も候補だったろう)、全員尻込みしたそうで、それも頷ける変態チックな役柄。
レイプは確かにネガティヴな事件だろうが、その出来事を通して自らの過去を整理し直すきっかけになっているのではないか。
ともすれば蓋をして見ないふりをしていた自分自身の本性(性癖)に気が付いた瞬間だったのかもしれない。
しかし常人には受け付け難い展開と設定には共感はしにくい。
ヘビー級の内容の割に軽いラストも意外性を感じる。
シリアスなドラマというよりも(孫のことなどからも)ブラックユーモアと受け取った方が良いのだろうか。
ともかくヒロインを演じた
イザベル・ユペールが圧巻。
レイプされようが仕事で躓こうが泣き言ひとつ言わずに黙々と己が信じる道をまっしぐらの態度にはさすが社長職に就くだけの<イイ根性>をしている。
変態度が極めて高い役柄なのに、その役に負けない強さを打ち出しているのはさすがだし、オスカーノミネートも納得。
ユペールの軸のブレなさが監督のそれと重なる。
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