カール・リヒターが55歳の若さで没してはや35年以上の月日が流れ、残された演奏に対する評価は今尚揺るぎない様に思います。只、それは最初期の録音に対してのものであって、わたくしの記憶では晩年に再録音された、『マタイ受難曲』の演奏は、リヒターの演奏の特色であった峻厳さが薄れ、かなりロマン的要素を取り込んだもので、「リヒターは何処へ行こうとしているのか」と云った、戸惑いを感じさせる論評が多かった様な。
そして今日、リヒターの『マタイ受難曲』と言いますと、最初の録音を指す事が圧倒的に多いのは、御承知の通りか、と。
それはさておき、リヒターが残した録音に対する評価は依然として高く、近年ではＤＧのＡｒｃｈｉｖレーベルからではなく、Plofileレーベルからも同一音源からの再発が。それにＤＧが業を煮やしたのかどうか、定かではありませんが、ちょっと瞠目すべき録音集成の予告が。
収録曲目がＪ．Ｓ．バッハの『マタイ受難曲』『ヨハネ受難曲』『ロ短調ミサ』『クリスマス・オラトリオ』とマニフィカト、というのは別段驚きはしないのですが、これに
�．�リスマス・オラトリオのリハーサル
�◆悒泪織ぜ�難曲』・『ヨハネ受難曲』・『ロ短調ミサ』の映像盤
が付く、となるとある意味只事ではない様な。ディスク自体の大きさは、ＣＤでもＤＶＤでも同じ大きさでありますから、問題はない訳ですが、それにしてもＤＧ（Ａｒｃｈｉｖ）が此処までやるとは、ちと予想外。更に申せば、ブルーレイ・オーディオで上記4つの宗教曲を収録したものも付く、そうですがわたくしブルーレイ・オーディオの再生装置を持っていないので、これはまあ猫に小判と云った所か、と。
さて、わたくしオリジナル・シリーズの国内盤が出た際に、対訳がないととついうっかりして、国内盤で『マタイ受難曲』は購入して仕舞っているのでありますね。ううむ、『マタイ受難曲』は嫌いな曲ではないけれど、かといって聞かぬ日は一日たりとてない、という程には愛聴している訳でもなく。まあ、年に数回程度、耳を傾けるという程度でありますね、正直申しまして。
が、このボックス、わたくしにとっては呪文のような「リマスタリング」の文字が。ううむ、『マタイ受難曲』だけならえいや、で購入しようかなあ、と思いつつ、国内盤に手を出したのは本当に『マタイ受難曲」だけだったか、再確認してみると、これが驚天動地（大袈裟）。『ロ短調ミサ曲』も国内盤で持っていたではありませんか（単に普段殆ど聞かないから、である事がバレバレ）。
ううむ、どうしてくれよう。当面は他の新譜の発売予告状況を横目で眺めつつ、資金繰りの点も勘案して、あれこれ考えざるを得ない状況に置かれる様です。
ログインしてコメントを確認・投稿する