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2017年08月15日23:52

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鉄道之雑談帖(その154)―フリー・ゲージトレイン断念の波紋

先日九州新幹線長崎ルートで、導入が検討されていたフリーゲージ・トレインの開発が断念された、との話題を取り上げました。この決定が、色々な波紋を呼んでいる様で。ううむ。

<引用開始>

「フル規格」どう軌道に 長崎新幹線、新型車両を断念 自治体間の溝、解消課題

九州新幹線長崎ルートでフリーゲージトレイン(FGT)導入のメドが立たなくなった。線路の幅が異なる新幹線と在来線を走行できる開発途上の新車両だが、JR九州がコスト高などから導入できないと判断した。地元では全線フル規格の新幹線建設を求める声が高まっている。乗り換えの手間がかからないFGTは北陸新幹線でも導入を検討していただけに、波紋を広げている。

 「安全性が確立できておらず、採算性が成り立たない」――。JR九州の青柳俊彦社長が7月25日、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の会合でFGTの導入断念を正式に表明。2022年度に開業を予定する長崎ルートは振り出しに戻ったような議論が始まった。FGTは国土交通省所管の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が開発を進めている。ミニ新幹線と呼ばれる秋田・山形新幹線は在来線の線路幅を広げて路線を延ばした。FGTは幅の異なる線路をつなぐ軌間変換装置という区間を徐行する間に、車輪がスライドする。線路や駅の大がかりな改良が必要ないのが利点だ。

長崎ルートは先端の長崎県内を通る区間をフル規格で建設中だが、途中の佐賀県内は在来線を利用する。FGTがなければ途中で乗り換えが必要になるため、新車両は開業の前提条件だった。ところが、14年の走行試験で車軸の摩耗が確認され試験を一時中断。16年に改良部品を使って再開し摩耗は軽減したものの、完全には解消せず、「安全面で重大な課題を抱える」(JR九州)と判断した。収益面の課題も大きい。整備費がかさむFGTは年間50億円程度のコスト増が見込まれる。豪華寝台列車「ななつ星in九州」や観光列車は人気だが、同社の鉄道事業は実質赤字。昨年には株式を上場しており、国主導の技術だからとFGTを導入して足かせとなれば、株主から批判を浴びることになる。

そこで高まっているのが、全線フル規格化を求める声だ。長崎県の中村法道知事は与党PTで「フリーゲージ方式の出口が見えない中で、これ以上の先延ばしは避けなければならない」と強調。「一番効果が期待でき、安定的な運行が実現できるフル規格で実現してほしい」と求めた。JR九州の青柳社長も「フル規格での整備が我々として一番経験もあるし、自信を持ってこたえられる方式」との立場を示している。

11年開業の九州新幹線鹿児島ルートは新大阪から鹿児島まで直通で結ばれたことで関西などから人の流れが生まれた。長崎ルートでも同様の効果を期待するが、FGTは新幹線車両に比べ最高速度で劣る。JR西日本は山陽新幹線区間への乗り入れに難色を示し、JR九州も相互乗り入れがなければ開通メリットは大幅に損なわれるとみている。長崎ルートは22年度に乗客が武雄温泉駅で対面ホームの新幹線と在来線特急を乗り換える「リレー方式」で暫定開業する予定。FGT導入が頓挫したことで当面はこの方式を続けることとなりそうだ。ただ、リレー方式は乗客の乗り降りに時間と手間がかかる。関連投資をしても効果が限定的で収益性も低く、長期化すれば「経営上大きな問題」(JR九州)とみている。

◆佐賀、恩恵乏しく
もっとも、地元の意見は割れている。途中区間が在来線で、FGTが必要になったのは、佐賀県にとって新幹線の恩恵が乏しいためだ。新幹線の建設費用は地元自治体が一定割合を負担するのが原則だが、佐賀―福岡間の時間短縮効果は数分にとどまる。フル規格化には追加で約4000億円かかり、そのうち佐賀県の負担は800億円とも見込まれる。今回も佐賀県の山口祥義知事は「800億となると県民1人10万円。フル規格化を議論できる環境にない」と主張している。

与党PTは近く会合を開き、今後の整備の方向性を検討する方針だ。フル規格化やミニ新幹線などの選択肢を含めて議論するが、自治体間の溝をいかに埋められるかが今後の焦点の一つとなる。

<引用終了>

出典Web:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170814&c=DM1&ng=DGKKZO1989230010082017ML0000

関連記事をもう一つ。

<引用開始>

「北陸」の行方にも影響 特急存続求める声

九州でのFGTの頓挫は北陸新幹線での導入計画にも影響しそうだ。「冬の雪など安全条件は九州より厳しい」(福井県の西川一誠知事)ため、導入へのハードルは高くなる。北陸で導入が浮上したのは2012年。国が北陸新幹線の金沢―敦賀(福井県敦賀市)間を認可したころだ。同区間の開業で途中の福井市を含め東京と新幹線で直結するが、現在、在来線特急「サンダーバード」で直通している大阪・京都とは敦賀で乗り換えになる。高架構造の新幹線の敦賀駅ホームは在来線と200メートル離れるなど、乗り換えに10分以上かかる。利便性確保を狙って国が持ち出したのがFGTだ。

地元には「直通運転ができるなら、大阪までフル規格でつくる必要があるのか」といった考えが出てくることに警戒感があった。それでも、乗り換えがあると関西との交流に大きな支障となるため、延伸に伴う地元負担とあわせてFGTを容認した経緯がある。その後、導入の機運はしぼみつつある。FGTは当時の敦賀開業目標の25年度の導入を模索したが、その後、国は開業を22年度末に3年前倒しを決定。開業時に間に合わなくなった。与党は今年5月、敦賀駅の新幹線ホームの下に在来線特急のホームを新設し、上下乗り換えで利便性を高める方針を決めた。

もともと北陸の自治体は安全確保が課題のFGTには慎重論も強かった。福井の西川知事は国やJR西日本に「導入の可否を早期に明らかにしてほしい」と求めている。FGTに振り回されたとの思いがある地元では、敦賀延伸後も福井までの特急存続を求める声が出ている。急先鋒(せんぽう)の福井県鯖江市の牧野百男市長は「『乗り換えなしで大阪まで』がもともとの約束。(特急存続の)財源の確保は新幹線予算でやってほしい」としている。


<引用終了>

出典Web:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170814&ng=DGKKZO19892370Q7A810C1ML0000

色々の思惑が絡み合って、フリーゲージ・トレイン断念⇒フル規格新幹線建設、とはいかない様ですね。残念な事に、佐賀が長崎の比べて、観光的資源の点では見劣りするのは否めない所(お笑いタレントはなわの「佐賀県」というコミック・ソングがありましたね)。個人的には吉野ケ里は凄い、と思うのですが、リピーターが大挙して押し掛けるか、となりますとちょっと疑問符が。

変な感情的しこりを残しての開業、という事にならなければよいのですが。
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