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2017年07月27日23:51

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新譜之雑談帖(その404)―トスカニーニ・ステレオ録音集成

20世紀前半の最大の指揮者である、フルトヴェングラーとトスカニーニに正規(スタジオ録音)のステレオ録音がない、のは周知の所。尤もトスカニーニに関しては、その生涯の最後の2回の演奏会が、実験的なステレオで録音されたものが残っているのはこれまた周知の所か、と思います。

ところが実はもう一つ、トスカニーニのステレオ録音が残っていた、と言いますからさあお立合い(大袈裟)。曲目は何と、ヴェルディのレクイエムというから大事。
尤もこれは、実験的なステレオ録音、という訳ではなくて、所謂「偶発的ステレオ録音」とでもいうのでしょうか。偶々録音時に、2本のマイクが立っていた為に結果としてステレオ録音となったもの。わたくしが知っている範囲では、エルガーの自作自演(正規のではない、お蔵入りになった録音)でこの偶発的ステレオ録音が残っていて。確か某Naxosからこの録音が発売された事があります。無論SP時代の録音なので、音質はSPでありながらステレオで聴こえる、というある意味不思議な録音でありました。

トスカニーニのヴェルディのレクイエムは、もう少し録音年代が新しいので、音質的には大分違うとは思いますが、発売元が例の伊太利亜のMemoriesとなると、聊か考えて仕舞う所でありますねえ。 なんにせよ聴けるのだから、有難いと思うべきなのでしょうが、どうもわたくし伊太利亜から出る実況録音盤は―曲目が珍しいものであっても―警戒心が先に立って、余り食指が動かないのであります。

レクイエム以外の録音では、わたくしワーグナーの方は持っていますが、巷で伝えられているトスカニーニが演奏中記憶障害を起こして(要は老齢による度忘れ、でありますね)演奏が止まった、という事はなく、聊か頼りなさげになりながらも、何とか演奏は続いている方の演奏。演奏が途切れた、というのは中継をしていたスタッフの早とちりで、実は辛うじて演奏は続いたのだ、という説もありまして、真相は大袈裟に言えば藪の中くさいですね。

確かに故事来歴は兎も角、トスカニーニのステレオ録音はこれだけ、でありますから貴重な記録であるのは確かな所。しかし、願わくばどこかちゃんとしてライセンスを取って、正規盤として出してもらえないものでしょうかねえ(Music & Arts盤を正規盤と呼んで良いのか、ちょっと疑問の残る所)。例のAltusが、ワーグナーの方は出している様ですが……
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