『カーズ／クロスロード』

『カーズ／クロスロード』

　ピクサーといえばジョン・ラセター監督がまず浮かぶ。
しかし、最近は後方支援だけで前線で監督作品はほぼない。
2017年現在、最後の長編監督作品は『カーズ2』ということ。
言っていればそれだけ愛着あるシリーズだったと思うのだが、3作目にして新人ブライアン・フィー監督にバトンタッチしている。
この世代交代こそ本作の総てと言っても言い過ぎではない気がした。

　世代交代はどの世界でもつきもの。
若いものがベテランを倒して上り詰める。昨今の日本で活躍が目立つ十代の若者たちの応援もそういう気持ちの表れであろう。
だが、追われる方のベテランの気持ちはどうなのか？
一時は頂点にたったライトニング・マックィーンだったが、新型の台頭によりチャンピオンの座を追われる。

　前作の『カーズ２』がどちらかといえば、パロディくさい軽い話だったのに比べて、3作目はシリアス路線に戻った印象。
路線修正自体は歓迎するが、ちょっと子供向けとは思えない設定にも思えてならない。（苦笑）

　一度転落したマックィ―ンの再起をかけて、かつてファンだったクルーズ・ラミレスがトレーナーとしてつくのだが、この若い子とマックィ―ンの関係がそのままフィー監督と尊敬するラセターに重なって見えて仕方ない。

　まぁ、そうなればその先の展開もそれとなく見えてくる。
どこに落ち着けるのかが見どころだが、その辺は先輩の顔を立てながらもうまく世代交代を匂わす。


　同時上映の短編『LOU』も新人監督。
まさに今回は世代交代がテーマなのか。
忘れ去られた遊び道具への思いをつづるあたりは『トイ・ストーリー』にも通じるだろうか。
戻ってきたのは遊び道具だけではないというあたりはグッと心をつかまれる。

　ところで予告編で来年公開の新作を流していた。
『リメンバー・ミー』というのだが、正直驚いた。



街並みとか美術、骸骨のキャラなどが見覚えあるのだ。
最初は「ああ、あの映画を劇場でやるのか」と思ったが、何か違うぞ?

　そのデジャヴの映画がこれ。『ブック・オブ・ライフ 〜マノロの数奇な冒険〜』の予告編。



パで始まってリで終わる単語とは言わないまでも、かなり＜オマージュ＞しているよね?
企画が“似る”のは今に始まったことではないけど、気になる…。（苦笑）