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2017年07月08日23:55

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新譜之雑談帖(その397)―ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団デッカ録音集成(108CD)

わたくしは極めて偏った音楽的嗜好の持主である、事は度々申し上げているので今更感もありますが。世評の高い指揮者は、大概自分の御贔屓指揮者でもあるのですが―但し、所謂古楽器派系の指揮者は駄目、ですね―それでも例外はありまして。

その最たる指揮者は、ゲオルグ・ショルティ。この指揮者の演奏は、何を聴いても脳味噌の髄まで筋肉しかねええんじゃないのか、と思えて仕方がありませんで。シカゴ交響楽団をあれだけのレベルに仕上げたのは凄い、と思うのですが聴こえて来る音楽はどうも……

以前にも記した様に、これはLP時代録音の良い(という事ですが、わたくしにはよく分かりませんでした)事でも評判だった、マーラーの第八交響曲、通称『千人の交響曲』が丸でわたくしの琴線に触れる事がなく。加えて当時、良いオーケストラの録音が少なかった、エルガーの威風堂々の行進曲(これはロンドン・フィルとの録音)が、英国のオーケストラを起用していながら(ショルティは英国での音楽的活動歴も長い筈なので)、デリカシーの欠片もない、筋肉馬鹿としか言い様のない力で押しまくる演奏に、すっかり嫌気が差してしまいまして。

しかし、存命当時のショルティは―わたくしの思いとは裏腹に―英国デッカの大看板指揮者、でありまして。ベートーヴェンの交響曲全集は2回、マーラー、ブラームス、ブルックナーの交響曲全集も完成させている程。
そんなショルティが、シカゴ交響楽団と英デッカに残した(ショルティは生涯英デッカ専属、でありましたから)、全録音集成が出るとの告知が。全部でCD108枚、と言いますから実に壮観、ではありますね。以前にも引用しましたが、故福永陽一郎氏がコンビチュニーの演奏を批判した言葉を借りるなら、「ショルティという指揮者が、如何に無意味にオーケストラをしごいて、頭の中身迄徹頭徹尾筋肉(或いは体育会系)の音楽を奏でたか」の証明にしかならない代物、ではないかとわたくしには思えて仕舞うのでありますね。

尤もこれだけの録音を残した、のでありますからわたくしの様な感想を持つ者は、圧倒的に少数なのでありましょうね。


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