mixiユーザー(id:5087127)

2017年07月07日23:47

137 view

新譜之雑談帖(その396)―小澤征爾/パリ管弦楽団、ストラヴィンスキー『火の鳥』全曲

ワーナーが旧EMIを吸収合併してかなりになりますが、継続的に御蔵出し録音の復活を色々な形で続けてくれているのは(一つには、リスクの高い新譜を出すよりは、経費的にも安上がりであろう、御蔵入り音源の復活の方が、確実に売り上げが見込めるというのもありましょう)、わたくしの如き因循姑息な音楽的嗜好の持主にとっては有難い限り、と何度も申し上げて居ります。

無論中には首を傾げたくなる様な録音も含まれておりますが、人の好みは様々でありますし、逆にそうしたアイテムも混ぜて貰わないと、こちらの御財布や置き場所が破綻しかねないので、ある意味ポジティブに捉えているのでありますが(単なる音盤道楽ぢぢいの戯言)。

さて組み物での蔵出しに加えて、先だってはわたくしの長年の渇望盤であった、プレヴィン/ロンドン交響楽団のホルスト『惑星』を復活させてくれ、随喜の涙に咽んだ(大袈裟)シリーズのinspirationでありますが、この度またまたわたくしが長年渇望して止まなかった録音の復活が。

その昔、未だ若かりし小澤征爾がパリ管弦楽団と組んで、ストラヴィンスキーの『火の鳥』全曲を旧EMIに録音した事がありました。これは当時大変に評判になった演奏でありまして。何時ぞや某塔音盤店でもらった、某音楽之友社のレコードアカデミー賞の冊子を見てみると、昭和48年のレコードアカデミー賞の管弦楽部門に選ばれている程。この頃から、『世界の小澤』というキャッチフレーズが、内実を伴って来た様に記憶しています。

それまではこれより10年程前の、「N響事件」の記憶も生々しく、また評論家諸氏の間での小澤氏の録音に対しても、何か難癖をつけて貶めるきらいが強かった様に記憶しています。それが前年の武満徹の「カシオペア」の録音(これは日本人作品部門でのアカデミー賞受賞録音)当たりから―伝統のボストン交響楽団の常任指揮者に就任した事も大きかったのでしょうね―レコードアカデミー賞の対象にもなる様になりまして。
因みにこの翌年、当時のニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮して録音した、ベートーヴェンの第九交響曲は日本人演奏部門でアカデミー賞を受賞していますが、故福永陽一郎氏が、「この演奏での日本人は小澤征爾だけなのに」と、中々辛辣なコメントを残しているのは、古いファンなら御存知の所か、と。

さて、そんなある意味歴史的な録音であった訳ですが、これまで輸入盤では長らく御蔵入りでありまして。わたくしは(年寄りなので)頑迷な輸入盤マンセーぢぢいなので、輸入盤で再発されないものか、と思っていたのでありますが、遂に願いが叶って感無量の思い(大袈裟)。
只出来る事なら、現在の国内盤で使われている、オリジナルの絵柄を使って欲しかったのですが、まあそこまでは欲張りが過ぎるというもの。この演奏が千円せずに入手できる様になるとは、有難い時代になったものであります。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する