閉塞感が漂っている日本に今一番必要なのは，「ヨハネによる福音書１章1節-5節」である。これが，私の意見である。
日本人は，
「理屈を言うな」
「言い訳をするな」
という言葉に代表されるように，論理的な思考（ロゴス）を全否定する傾向がある。
これは，下記の宗教的な慣習（仏教的な教義）を，現実の世界まで敷衍したもののようにみえる。
� ”堽�文字（論理的な思考を手放した体験にこそ本質があり、文字にすることはできない），
�◆ゞ騎以姪繊併嫋△�ら弟子へ体験を通じて伝えていくべきだ）
�� 直指人心（人が本来持っている清らかな心を見つめる），
�ぁ仝�性成仏（心の奥にある仏を見出すことができる
これら�´↓��い蓮す眩里箸修猟鏤劼箸隆屬離襦璽襦�キリスト教でいえば，いわば，愛と慈悲に満ちた神の国のルール。欲と悪(sin)にまみれた現実の世界において，このようなルールがうまく機能するはずがない。高僧とその弟子との間のルールを俗世界にまで敷衍してしまったために，日本の社会では，言葉が奪われてしまった。
この言葉を奪い，論理的な思考を全否定する宿痾が，今の日本に非常にnegativeな方向へと作用している。つまり，”結果よければ全てよし”というイデオロギーが蔓延し，途中のプロセスを全く分析しようとしない。極端な言い方をすると，あてづっぽう。
上記の宿痾のために，途中のプロセスを全く分析しようとしないので，同じ失敗を繰り返す。市場構造の変化や技術上の要件の変化のために，もはた従来のやり方が有効でなくなっているにもかかわらず，”従来のやり方がなぜ成功していたか”を分析できていないために，過去の成功体験にしがみつく。うまく行かなければ，大本営発表的に表面を取り繕う。まさに，銃剣突撃と大艦巨砲主義にごだわった第二次世界大戦末期の日本陸海軍そのもの。
言葉を奪い，論理的な思考を全否定する宿痾が，日本の生命線である研究開発にも影を落としている。実験により，試行錯誤を繰り返すにしても，まず，理論的な検討を十分に行ったうえで，従来の理論の枠組みから外れるところを狙わなければならない。そうしなけれな，意外な結果が得られた場合に，単なる失敗なのか，新しい発見なのか，判断がつかない。
つまり，研究開発も，偶然のみに頼りがちである。試行錯誤を繰り返すだけの力ずくの研究開発がもてはやされ，お金ばかりかかる。費用対効果が非常に悪い。だから，研究開発は，ムダなのでやめてしまえとなる。また，いくら研究を企画しても，論理的な思考に重きをおかないので，feasibilityを判断することができない。そのため，研究企画が全く採用されない。
以上，この論理的な思考を全否定する宿痾が，日本の研究開発力を著しく損なっている。資源のない日本では，研究開発こそが生命線である。このままでは，日本の将来は暗いと言わざるをえない。憂慮すべき事態である。
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