『
ジュリエッタ』
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルお得意のめぐるめく運命の皮肉と愛を描く。
手慣れた題材に思えるが『私が、生きる肌』よりも『オール・アバウト・マイ・マザー』の方が近いか?
毎度のことだが、アルモドバルにとっていかに“母”が特別であるのかを痛感する。
スペインのマドリードで暮らす中年女性のジュリエッタの耳に、行方知れずになっていた一人娘アンティアを見たという話を聞いて気もそぞろとなる。
娘がいなくなった空白の12年間の疑問と、再会できるのかという期待と不安が交錯する…。
ここでも繰り返される母と娘の愛憎劇。
娘の名前がトリガーになり、過去への旅を繰り広げるアルモドバルの話術は健在で強烈な色彩設計はインパクトがある!(とりわけ赤が格別な意味を持つのだろう。)
現在と過去で違う女優が演じるが、いずれも魅力的。女優のキャスティングは本当に(いつもながら)見事な眼力と演出力を持っている。
ただ決してつまらなくはないのだが、とんがっていたはずの監督なのに悪く言えば焼き直しにも感じるのは、いつもよりも“変態度”が足りないからだろうか?
「アルモドバルよ、もっと変態度を!」と言いたい。(笑)
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