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2016年11月14日02:25

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『この世界の片隅に』

この世界の片隅に

 近頃、耳にするクラウドファウンディング。
有志から企画のために資金を募って実現しようというもの。
本作からはその熱意がしっかり感じられた。

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 1944年、広島生まれの“すず”が軍港である呉に嫁いでゆく。
映画は「やがて来るその日」をカウントダウンするかのように絵日記ならぬアニメ日記をめくってゆく。
大半の日本人ならば、その後の歴史は知っていよう。
しかし、これは戦争について言及する物語ではあるまい。

 戦争中の庶民の生活を小さなエピソードを積み上げながら彼らの日常を紡ぎ出す。そのまなざしは暖かだ。
時間順にすずの半生を追体験するのも分かりやすい。

 あの時代なら全国どこでも似たようなことがあったであろう苦労が描かれる。
苦しい生活ながらケチケチ飯などの楽しみは“すず”の(少しおっちょこちょいだが、)ポジティブな性格ゆえだろう。

 タンポポやカブトムシなどちょっとした比喩にハッとさせられる場面も…。
よそ者である“すず”が最後に取った行動は必然ともいえる。
閉鎖的な社会でも、物資に乏しい状況でも、希望の芽を摘み取られても、世界は片隅からでも変えて行けることを証明している。
まさに、クラウドファウンディングという手法そのものではないか。

 “すず”の声を担当するのは“のん”(本名:能年玲奈)。
“すず”のイメージはやがて“のん”自身と同化して行くようだ。
カナダのアニメーション作家、ノーマン・マクラレンの手法を真似たというシーンも効果的である。

 片渕須直監督が語るように、当時の資料調査はかなり念入りに行われたようだ。
その正誤までは分からないものの、説得力は感じる。
この作品が罪作りをしたとすれば、これ以後は、安易な資料での第二次世界大戦映画は作れないだろうということ。(笑)

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 ただね、前半は細切れの日記調なので退屈なのか途中退出された方もいました。
そこは少し理解できる気もした。あせあせ

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