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2016年11月05日03:13

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備忘録『ネヴァー・エヴァー』『フロム・ノーウェア』

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備忘録『ネヴァー・エヴァー』『フロム・ノーウェア』

 どちらもワールド・フォーカス部門。
だが、前者は迷った…というのもIMDbの評価が著しく低いから。(5点前後)
他の作品は押しなべて6点の後半から8点近いものばかりなので、最後まで迷ったけど、その前後の鑑賞枠の間が空きすぎるためにやむなく取った次第…、マチュー・アマルリックが来日でもしていたら違ったかな?(苦笑)。

『ネヴァー・エヴァー』
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=135

 野心的というか大胆でかなり想像力を求められる。
ある映画監督がアートパフォーマーと恋に落ち、長年の恋人を捨てて田舎の大きな邸宅で愛を育む…という冒頭はいかにも<ありがちなフランス映画>だが、途中からガラリと様相が変わる。

 というのも、冒頭はこの映画監督レイ(マチュー・アマルリック)の視点で話が進行するのに、途中からパフォーマーのローラ(ジュリア・ロイ)に移るからだ。
話の展開上仕方ない部分はあるが、スムーズとはいいがたい。

 ラブ・ストーリーを内包したスリラーのようであり、また哲学的でもある。
(ネタバレになるので説明しにくい点は残るが、ジュリアの成長物語であることには違いないだろう。)
難解だと思ったらそれもそのはずで原作は米文学界を代表するドン・デリーロ。
クローネンバーグ監督、ロバート・パティンソン主演の『コズモポリス』の原作者と言ったら頷く方もいるのでは?

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 監督は巨匠ブノワ・ジャコ。ヒロインを演じるジュリア・ロイから熱烈なアプローチを受けて実現したそうだ。なんと彼女が脚本も担当するという熱心さ。
初めて組む俳優に(相談はあるにしろ)脚本を任せたことはなかったというので評価は高いのだろう。

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 ジュリア・ロイによればはポランスキー『反撥(反発)』やベルイマン『ペルソナ』を参考にしたそうで、なるほどと思わせられる。



『フロム・ノーウェア』

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=127

 NYはブロンクスの学校を舞台にした不法移民の悩みを描いた問題作。
社会性の高さやドキュメンタリーかと思うくらいの臨場感からいっても、まさに今の時代に見るべき一作だろう。

 不法移民として問題になる三人のケースが語られる。
ドミニカとペルーの少女とアフリカからの少年は親が不法移民のためにバレたら強制送還もありうる。問題を起こさないように怯えながら真面目に勉学に励む姿には教師もつい目を掛けたくなる。
ただ、一方で事情を知らないものから見れば依怙贔屓と見る向きもある。彼らに居場所はないのだ。
思春期の悩みと相まって、いつ爆発するか分からない“時限爆弾”にハラハラドキドキ。

 学校サイドは気を使って弁護士を用意して、何とか無事に卒業させようと配慮する。
どれほど真面目に学業を努力するよりも判事の心を動かす悲劇が望まれるというのが、何とも悔しいやら情けないやら…。

 表向きには不正であるが、社会の弱者だからか米国市民には少なからず善人もいるという希望も感じさせるが、現実の厳しさも突きつけられる傑作社会派ドラマ。

 一般公開を望む。

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