mixiユーザー(id:11939455)

2016年11月01日02:42

269 view

『グローリー』&『フロッキング』@TIFF2016

フォト


『グローリー』
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=129

 前作『ザ・レッスン/授業の代償』が第27回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞した監督と女優のコンビが贈る新作。
社会派の側面はあるものの、取っつきやすい娯楽作品に仕上がっている。

 ブルガリアの鉄道保線員のツァンコ・ペドロフは仕事中に大金を発見。
しかし根が真面目なツァンコは届け出る。
燃料問題で不正疑惑が掛けられている運輸省は世間の風よけに美談を利用しようとする。

 東欧の社会主義世界では珍しくはないと思われる権力構造と杜撰で荒っぽい対処に怒りを通り越してあきれてしまう。
こんなことがまかり通る社会では生きた心地はしないだろう。
政権上層部は自らのミスを隠すためにさらにミスの上塗りをしてしまうというように本質が全く見えてない姿が悲しい。
しかし、摘発するはずのマスコミも己のために庶民を利用する。

 権力者に翻弄される庶民には溜飲が下がるエンタメ作品。
脚本は良く書けている。…が、良く書けている分ある程度展開が読めるのが玉に瑕。

 『ザ・レッスン〜』の教師役から悪徳政府高官役を演じたマルギダ・ゴシェヴァの悪役ぶりは中々の物ではあるが、最後に少しブレを感じてしまった。
わずかながら人間性をみせた点でカタルシスが甘く感じてしまったのだ。

****************************

『フロッキング』
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=235

 もっと映画を若者の手に届けようという意図なのか分からないが、今年から設けられたTIFFティーンズというジャンル。
『リトル・メン』という作品が評判良いようなのだが、もう一度ある上映回はすでに完売。
一般公開があるといいな。冷や汗

さて、本題。

 スウェーデン北部の辺鄙な町でのこと。
どこの国でも見られる閉鎖的な“村社会の暗黙のルール”がここにもある。
イェニフェルという少女が友人である青年アレクサンデルにレイプされたと訴え出る。
少女の告発は真実なのか、嘘なのか。
小さな田舎町で起きた事件は町の人々を巻き込んで大きな渦になる。

 事の真偽よりも少女の家庭と青年の家庭の町での力関係が如実に表れる。
聖職者ですら、その力にあらがえないというのは神はすでに死んでいることの比喩だろうか。
レイプの真偽も大切かもしれないが、本作が焦点を当てるのは周囲の反応だ。
閉鎖的社会の怖さがにじみ出ていて、多数が“正義”を乗っ取る怖さには共感する人も多いのでは?

 人の心の醜さと美しい風景との対比が鮮やかだった。
本筋とは関係ないが、気付いた事はスウェーデンでは未成年でもタバコが吸えるのだろうかということと、学校の水泳の授業では女生徒はビキニを着ていること。(笑)
ちょっと羨ましい気もした。あせあせ

ここで、ゲストが登壇。
通常なら監督や俳優などが来るのだが、アレ・キノ映画祭ディレクターのイェジ・モシュコヴィッチ氏である。

フォト


 何でもTIFFのスタッフが本作をアレ・キノ映画際で発見したために、そこのプログラミング・ディレクターを招待したというわけだ。
それはいいけど、何を質問するのか?
「この問題を皆でディスカッションしましょう」と言っていたが、誰もが答えにくそうだった。あせあせ(飛び散る汗)
(それよりも通訳の女性に目が行く。)
フォト

上記のように元々は問題提起して青少年に見てもらって討論してほしいような趣旨らしいですな。(すまん、オッサンが見に来て!)


2 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年11月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

最近の日記

もっと見る