『メイクルーム２』

『メイクルーム２』

　ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞した『メイクルーム』の続編。
アダルトビデオ撮影現場の楽屋で起きる一日のドタバタ劇を人情味あふれるコミカルなタッチで描くワンシチュエーションドラマ。

　なんでも前作の企画時点で予定していたとも聞く。
それもあり、前作のファンには間違いなくオススメできる作品に仕上がっている。
逆に言えば、人物関係などが完全な続き物なので（これだけ見ても楽しめるが）出来るだけおさらいはしておいた方がベターだと思う。

　基本的なキャストは同じメンバーが集結するが、今回特別ゲストの参加は元AKB48の平嶋夏海。
劇中の設定でも男性スキャンダルでアイドルを辞めさせられたという自虐ネタでの参加には思わず苦笑い。

　お金に困ったからと言って気軽に飛び込めるほどAV業界は生易しい世界ではない。
とかく色眼鏡で見られがちで、安易な気持ちで飛び込んでくる輩にくぎを刺しているのは森川圭監督がAVの監督でもあるからだろう。
（…と同時に劇中の監督がボンクラだったり、スタッフが優秀だったりするのもその表れか。）

　狭い社会と人間関係の軋轢、そこに振り込め詐欺や高齢者介護など現代日本が抱える社会問題も織り込んでいるのが奥行きを感じさせる。

　元々メイクをするということは、＜自分を作る＞という意味合いを持たせているのだろうか。
AV業界あるあるネタを詰め込みながら、自分の居場所や自身の人生は己で切り開くしかないという強い自立の物語でもある。
題材が題材だから女性の裸体もチラチラ見えるが、決してハナの下を伸ばした殿方のためだけの映画ではない。



　欲を言えば、平嶋夏海のアッと驚くシーンが欲しかったなぁ。（笑）