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2016年09月26日02:31

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『ハドソン川の奇跡』

ハドソン川の奇跡

 実際に起きたUSエアウェイズ1549便不時着水事故の映像化だが、クリント・イーストウッドは単なる事故の再現には終わらせない。
2009年1月15日に起きた事故は大きく取り上げられたので記憶に新しい人も多いだろう。
しかし、その後にこんな審議があったとは…。

 緊急事態にハドソン川に不時着し、一躍“英雄”となったサレンバーガー機長(トム・ハンクス)。
だが英雄扱いする世間とは裏腹に、機長の判断は不適切ではないかと国家運輸安全査委員会は追及を始める…。真実はどこにあるのか。

 いかにもクリント・イーストウッドが好みそうな人物像。
経験豊かで職人肌を持つサレンバーガー機長。冷静で的確な判断を下し、“手順通り”真面目に職務を全うしている。

 人間と対峙するコンピューターというスタンスは古めかしいが、鍛えられたプロフェッショナルに対するクリントの信頼の表れとも見て取れる。
もっとも敵はコンピューターというよりも杜撰な(悪意ある?)ヒューマンエラーであり、机上の空論に溺れ、自己利益の保護に走る大企業や権力者なのだろう。
9.11のテロを体験した後のNYということも相乗効果を上げている。
米国人ならもっと感情が揺さぶられる映画になっているのではないか。

 当時の機長と同い年というトム・ハンクスの好演も光るが、調査委員会のチームを演じる俳優たちもほんのわずかな表情の変化だけで、内面を伝えるのだから(俳優の)層の厚さを感じる。

 死と向き合うテーマは現在のイーストウッドの境遇と重なるのだろうか。
機長の生き方を通して監督自身が確認しているかのようだ。

 96分と尺は短い。余計なものを全てそぎ落としたといえば聞こえはいいが、もう一つ何か欲しい気もした。
だが、代わりにエンドロールが補って余りある

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