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2016年09月15日01:09

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『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』

ラサへの歩き方〜祈りの2400km

 何の変哲もない映画だが、根底には恐ろしい“祈り”を感じる。
チベットの村人がチベット仏教の聖地ラサへ、さらには聖山カイラスへ巡礼の旅に出る。
映画はただそれだけのことを延々と映し出す。

 まず祈りのための“五体投地”というルールに驚かされる。
木の板を両手にくくり、合掌したのち地面に身を投げ出しつつ前進する。
倒れては立ち上がり、また触れ伏す。
ひたすらこれの繰り返し。
邦題にもあるようにこれで2400kmを踏破するのだ。
一日に進めるのは、個人差や行程にもよるがわずか10キロ程度と思われる。

 これまで『こころの湯』や『グォさんの仮装大賞』のようなハートウォーミング系のドラマが多かったように思うチャン・ヤン監督のド直球。
一見ドキュメンタリー映画のようでもあるが、チベットの村人を集めての劇映画らしい。
怖ろしいと思ったのは、巡礼者の横をぶっ飛ばす大型トラックでも、切り立った崖から崩れ落ちる落石でもない。(それも怖いが…)

 一番は中国政府が弾圧するチベット民の生き生きした日常生活が描かれていることだ。
彼らのマイペースながら、どんな難関があっても仲間で協力し合って成し遂げようとする姿をみればガツンと脳天を打ち砕かれたような衝撃があるだろう。
しかも“五体投地”のルールで大切な一つには<他者のために祈ること>とある。

 この至極まっとうな“怖ろしい祈り”は、いつの日か中国政府を動かすだろうか。
是非ともチベット民の祈りが届いてほしい。
人間のちっぽけさと比べ物にならない雄大な景観にも圧倒される。

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