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2016年08月03日23:59

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新譜之雑談帖(その306)―アルトゥール・ルービンシュタイン ショパン スケルツォ、『英雄』ポロネーズ他(2CD)

ワーナー・クラシックが旧EMIを傘下に収めて以降、従来にも増してあれこれ御蔵出しをしてくれるのは(個人的には)有難い限り。で、ありますが中には些かその意図が図りかねるアイテムもありまして。今回言及する、ルービンシュタインのショパンもそうしたものの一つ。

ルービンシュタイン、と言えば(わたくしの世代以降であれば、恐らく同じ認識ではないか、と思うのですが)旧RCAの看板ピアニスト。ショパンのピアノ曲を、ステレオ録音に限定してみても、相当数の録音を残している訳でして。と云う訳で、何故にワーナー・クラシックから発売告知が。

ちょっと考えてみると明らかでありますが、これは戦前のSP録音の復刻、なのでありますね。忽ち疑問は氷解したのでありますが、今度は何故に今、SP時代の録音を敢えて御蔵出しするのか、と云う疑問が。

只、全くの独断と偏見にしか過ぎない事は百も承知で、敢えて申し上げさせて頂きますと、旧RCAへのステレオ録音は(無論下手糞と云う訳ではありませんが)、どうも元気溌剌・明朗活発・健康優良児的な感じが強過ぎて、少し違うんじゃないのか、と云う思いを拭い切れないのでありますね。
元気溌剌で何が悪い、と言われると確かにそうなのでありますが、勝手な思い込みではありますがルービンシュタインのショパンには、もうちょっと憂愁や物悲しさが漂っていても、と思って仕舞うのでありますね。

同じルービンシュタインの演奏でも、これが不思議な事に古いSP録音では、先に挙げた憂愁や物悲しさの要素も、十分に織り込まれている様にわたくしの耳には聴こえるので(昔LPで出ていた、モノラル録音のリストの『愛の夢』も、元気なだけではない、憂いや幾らか耽美的な部分もあって、好きな演奏でしたが)、今回の復刻は喜ばしい所。

最も昔、旧EMIから出たSP時代のショパンの録音集成を持っているので、これに手を出そうとは思わないのですが。ワーナーの側にも、SP時代のルービンシュタインの録音は売れる、と算盤を弾いた人がいたのでしょうか。何にしても面白い所です。

この調子で、ワインガルトナー、シャルク、ワルターと云った辺りのSP録音を、大元の録音原盤から復刻して貰えると、わたくしの様な因循姑息な好みのぢぢいは、随喜の涙を流して仕舞うのですが、どうですかね。
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