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2015年10月26日00:14

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科学技術之雑談帖(その17)火山のMRI

今から16年前に他界したわたくしの亡父は、53の時に脳梗塞を発症し半身不随の身となりました。自らの不摂生(主たる原因は喫煙にあったろう、と思います)の産物であった訳ですが。当時CTスキャンと云う最新の医療機械で、梗塞を起こした部位であるとか、その後の親父の脳味噌の状況を見る機会がちょいちょいあり、凄いものだなあと感心した事を覚えて居ります。
その後現在は更に技術が進んで、MRIと云う医療機械で以って、脳味噌のコンディションをより精密に観察する事が可能となりました。わたくしも此処10年来、毎年少なくとも一度は脳のMRI画像の撮影をしては、取敢えず毎回異常なしのお墨付きを貰っている訳でして。

こうした技術が例えば火山であるとか、内部構造の良く解らない(そうかと言って壊す訳にもいかない)古代の遺跡の調査に使えないものか、と時々思ったりしたものですが、そうした言わば特大版MRIが実現出来ないか、実験が始まるそうです。おお。

<引用開始>

岩手山を「透視」噴火を予測…県立大、素粒子で

活火山・岩手山を素粒子観測装置でレントゲン写真のように「透視」して噴火を予測する試みを、岩手県立大(滝沢市)などが計画している。観測を行う県立大総合政策学部の伊藤英之教授(火山学)は、「素粒子観測装置を恒常的に設置して火山を監視する試みは、世界的にもまれ」としている。

観測は、県立大が高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の協力で行う。装置は高エネ研が製作したもので、宇宙から常時地表に降り注いでいる素粒子の一種「ミューオン」を観測する約1メートル四方の板状の構造だ。今年3月まで高エネ研の機構長を務めていた県立大の鈴木厚人学長の仲介で、高エネ研から装置を借り、伊藤教授を中心に観測を進める計画だ。噴火の兆候は、地震の発生状況の分析結果や、山体の傾斜の微妙な変化などから推測するのが一般的だ。これに対し、ミューオン観測装置を使うと、山体を通過して飛来するミューオンを観測することで、山体内部の様子が直接わかるという。

火山活動が活発化してマグマが地下から上がってくると、マグマ付近の岩石は高温にさらされて軟らかく、密度が小さくなり、ミューオンの通過の仕方に変化が起きる。この変化を観測することで噴火の兆候を捉えられると考えられている。マグマが上がってくる様子を直接捉えられれば、噴火直前に気づける可能性もあるという。伊藤教授によると、ミューオン観測装置を使って火山を観察する試みは一部で行われているが、長期間監視を続けた例はほとんどないという。装置は岩手山頂から東南の滝沢市に設置する方向で調整しており、早ければ年内に観測を始めたい考えだ。県立大は既に噴火予測の一環として岩手山周辺の湧水の観測も行っている。伊藤教授は「素粒子観測と他の観測を組み合わせれば、より正確な予測ができる」と期待している。

岩手山の大噴火は江戸時代の1732年が最後だが、1919年(大正8年)には水蒸気爆発があり、72年にも噴煙を上げている。98年から火山性地震が頻発したため一時入山が規制されたが、2004年に全面解除された。

<引用終了>

出典Web:http://www.yomiuri.co.jp/science/20151024-OYT1T50112.html?from=ytop_ylist

岩手山は、盛岡に旅行で行った際に盛岡市内から岩手富士とも称される、その雄姿を眺めた事がありますが、ひとたび大噴火でも起きようものなら、甚大な被害が出るであろう事は想像に難くありません。独断と偏見で申せば、現在活発に活動している桜島や阿蘇山に取りつけて欲しい物、と思わない事もないのですが、まああちらは常時観測の目が光っている訳で。
比較的穏やかだけれども、比較的近い過去には噴火活動があった火山にこそ、こうした観測装置は有効なのかも知れません。

一方海外では、同じ様に素粒子を使って、ピラミッドの内部構造を調査使用とする試みもある様で。

<引用開始>

ピラミッドの謎、透視で分析=日本人研究者も協力―エジプト

【カイロ時事】エジプト考古省は25日、首都カイロ郊外のダハシュールにある「屈折ピラミッド」などの構造上の謎を解明するため、岩石を透過する宇宙線を使って内部を透視し、分析するプロジェクトを開始すると明らかにした。構造物を傷つけることなく、ピラミッド内部の究明が進むと期待されている。プロジェクトは、名古屋大の森島邦博特任助教(素粒子物理学)らが協力し、宇宙線が大気に衝突した際に生じる「ミュー粒子」による透視技術を利用し、ピラミッドを調査する。この技術は東京電力福島第1原発の原子炉内部の調査や火山の内側のマグマの研究にも活用されている。

ミュー粒子は大気中に常時降り注いでいる素粒子。物質の密度が高いところでは多く吸収される。この性質を利用し、ミュー粒子を計測、分析することで、ピラミッド内部に隠された玄室などがあれば、その発見につながるという。 考古省主催の記者会見に出席した森島氏は「素粒子実験で開発した技術を考古学の分野に使えるということは、非常に有意義だと思う」と語った。 屈折ピラミッドは、紀元前27世紀ごろの古王国第4王朝初代、スネフェル王が建設。傾斜の角度が途中で変わる。スネフェル王はギザの大ピラミッドで知られるクフ王の父。 

<引用終了>

出典Web:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00000079-jij-sctch

この屈折ピラミッドも、何故途中で角度が変わっているのかは解っていない、との事。洋の東西を問わず、同じ様に素粒子を活用して内部構造を探ろう、という動きがあるのは何となく面白いですね。
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コメント

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