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2015年09月30日01:30

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『ベル&セバスチャン』

ベル&セバスチャン

 日本ではアニメ『名犬ジョリィ』で知られるセシル・オーブリーのベストセラ―文学「アルプスの村の犬と少年」を原作とした実写映画。
いかにも児童向けらしい筋書きに、映画用に書き加えられたナチスの影が重みを加える。

 舞台は1943年、ナチス統治下のフランス。
辺鄙な山の村で起きた出来事だが、見た目や先入観で決めつけはいけないと教わる。

 少年の成長と動物との心の交流という鉄板ネタなので、それだけで安心して観てられる。
冒頭で母を失ったヤギ属の動物(アイベックス?)と、周囲から恐れられるグレート・ピレニーズ犬のベルが何の意図なのかは大人ならひと目でわかるはず。

 ナチスから追われるユダヤ人一家の山越えを手伝う様子は、先の展開は読めていても手に汗握り応援したくなる。

 何はなくともアルプスの絶景が格別。
特に冬山の人を寄せ付けない様子は国境越えの難しさに説得力を持つ。
これを大画面で見るだけでも価値はあるのじゃないか。
3Dだったら相当臨場感が出ただろう。
(個人的には冒頭のカットがもっとも尻の下がソワソワした。)

 少年セバスチャンを演じたのは2400人の候補者から選ばれたというフェリックス・ボシュエ。
野性的な輝きと好奇心あふれる表情はいかにも適役。
脇のベテラン俳優たちのお芝居が作品に安定感をもたらす。

 大人が見るには少しユルすぎるかもしれないが、幅広いファミリー層で楽しめる映画だと思う。
小さな子供でも楽しめるように吹き替え版があったらなお良かったかも。

 監督は『狩人と犬、最後の旅』の二コラ・ヴァニエ。
自身が冒険家でもあるようなので、この迫力ある映像はその賜物か。

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