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2015年09月28日02:00

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『黄金のアデーレ 名画の帰還』

黄金のアデーレ 名画の帰還
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 クリムトの描いた表題の絵は広く知られているが、裏側にこんなエピソードが隠されていたとは想像だにしなかった。
美術品を扱った映画では上等な部類だと思う。

 第二次世界大戦中、ナチスによって強奪された美術品は枚挙に暇がない。
クリムトの名画『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I 』もその一つ。
モデルの姪で、その後アメリカに亡命したマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)が経験浅い弁護士ランディ・ショーンバーグ(ライアン・レイノルズ)と共に少ない手がかりから名画を取り戻そうとする実話の映画化。

 見たくない過去と対峙する苦痛は、他人にはわかるまい。
マリアにとって、大切で愛する伯母であっても、絵画返還に係わればイヤでもナチス統治下の苦い思い出が蘇る。
しかし、その勇気の後押しをするのが、思い出の家族たちの姿であることに涙する。
家族の絆がもう一つの柱になっているのも見所。

 数少ない証拠の一つである遺書をめぐって二転三転する知恵比べは中々面白い。
ちょっとしたところに比喩が隠されていて、それを見るのも楽しい。
実のところ、マリアもランディもどちらも似た側面がある。
二人とも良家の出自で、プライドがそれなりに高い。またそれゆえ自分から逃げている弱い側面を持ち合わせているが、何度も壁にぶち当たりながら成長していくさまが清々しい印象を残す。

 講演で語るマリアの言葉には重い響きがあった。
彼女には戦争によって失われた物(絵画)より取り戻したいものがあり、そこにこそ共感を強く持てる。


 主演二人の演技の上手さが光る。
ヘレン・ミレンが上手いのは言うまでもないが、ライアン・レイノルズの迫力も中々のモノ。
監督は『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティス。

 ウィーンロケが映画の美術としてはピカイチで、真実味を高める。

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11月 27日より公開予定
実話なので事の経緯は秘密じゃないとしても『黄金のアデーレ』だけでよかったのじゃないかな?(笑)

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