『
ぼくらの家路』
子供が大人になるターニングポイントって何だろう?
人それぞれだろうが、早くなりたいと思ってもなれるものでもないだろうし、また逆も真なり。
シングルマザーの家庭に育つ10歳のジャックには6歳の弟マヌエルがいる。
まだ、遊びたい盛りだろうが、母親業よりも女であることを優先する母しかいない状況では、いやでも大人になるしかない。
不注意のアクシデントが原因で、施設に預けられることになるジャック。
しかし首を長くして待っていた夏休みに母は迎えに来ず、連絡が途絶えたためベルリンの街を弟と母を捜し歩く。
クレジットにダルデンヌ兄弟の名前がなくて驚いた。(笑)
それくらいダルデンヌ映画っぽさを感じさせる。
子供は子供なりに世の中をきちんと観察しているし、子供なりの生き延びる知恵(食事や寝床の確保)を発揮するあたりは手に汗握りながらも心の中で応援したくなる。
ほとんど無名と言っていいキャストと極端にセリフが抑えられたドラマを手持ちカメラが追う。
あたかもドキュメンタリーのような手法に臨場感が倍増。
ジャックの赤いシャツが印象に強く、弟くんのブロンドといいブリリアントな色彩が目に付く。
あまりに暗く悲惨な状況にまでは陥らないのは、現実の社会を想定しているのか。
ヤリすぎるのは嘘くさくなると踏んでなのか…。
母親を含めいずれの登場人物も
善悪や敵味方を決めつけない。
両面を持った人物として描かれる。
そこでの経験と選択が見識を広め成長させるのだろう。
しかし、限りある子供時代を、もっと子供でいさせてあげたい気持ちにもさせられる。
これがデビューとなるジャック役のイヴォ・ビッツカーの顔立ちが良い。
幼いのにどこか大人びた雰囲気を漂わせる。
逆に弟マヌエル役の子のあどけなさが対比的。
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