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2015年09月16日02:03

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『天空の蜂』

天空の蜂

 東日本大震災が起きるまで、原発の安全神話を信じていた日本人は多かったと思う。
それに先駆ける形で人気作家東野圭吾が小説化した問題作。
上記の震災を体験した今ではここに描かれていることはあながちフィクションとはいいがたい。
それゆえに、『東京原発』のように震災前に映画化されていたらとも思うが、それ以前では実現が難しかったのだろう。

 原発の盲点や弱点の虚をつくというより、傲慢な政治屋に向けたものだろう。そんな政治屋に蜂の一刺し!
原発であろうと自衛隊であろうと、現場スタッフの頑張りこそがこの国を支えている。

 サスペンスの部分は東野圭吾らしく安定した面白味を見せているが、個々の日常生活の描写に少しもどかしさを感じる。
設定描写に時間を掛けたくないのは理解できるが、あまりに説明的すぎて入っていけない。
主人公・湯原(江口洋介)の家庭の現実味が感じられないのだ。
大きな嘘に信憑性を持たせたいなら、まずは細部を丁寧に描いてほしい。

 邦画としては健闘しているとは思うが、ヘリの中の少年救出シーンなどもう少し臨場感が欲しい。
(いかにもセット撮影とわかってしまう。)

 しかし、それらを差し置いてもここに描かれる問題点は興味深い。
自国の強大な武器開発、テロリスト対策、自衛隊の存続価値、政治権力の横暴、そして原発の安全問題などなど。
どれもが簡単に語れる話でもないし、やたら専門的な堅苦しい内容になりがちなのだが、一本の娯楽映画として楽しめるのは中々のアイディアもの。
もっとも、これとて震災で学んだ知識が多いためもあろう。
(その意味でも実現は今のタイミングだったのかな?)

 キャストでは原発設計士・三島の本木雅弘が素晴らしい。シブがき隊だったからというわけじゃないが、実に渋くてカッコいい芝居を見せる。

フォト


 ただ、この映画のために書き足されたと思わるエピローグの部分は焦点を甘くしている気がした。

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